投手は1球投げて99万円、打者は1安打すると522万円

投手から分析していこう。10傑に入った投手は4人いる。肩やヒジの故障で早めに選手生命が終わるケースも少なくなく、打者と比べて出番は少ないが、勝敗の鍵を握る投手の年俸は高めだ。

まず、日本球界の最高年俸である田中将大(楽天・33)だ。メジャー(ヤンキース)時代は7年総額155億円(推定、以下同)の契約だったので、1年平均22億円だったことになる。それが再び楽天と契約するにあたり、菅野智之(巨人・32)の8億円を超える日本最高額9億円(2年契約)となった。

投球
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3位の菅野は、20年シーズンはリーグ最多14勝で8億円だったが、昨21年はプロ9年間で最低の6勝。2億円ダウンの6億円もやむなしといったところか。

逆に、同じ3位の千賀滉大(ソフトバンク・28)は2010年に育成選手ドラフト4位で入団後、2016年から6年連続で2ケタ勝利。21年の更改で2億円アップし、6億円を勝ち取った。

8位の森唯斗(ソフトバンク・29)は4億6000万円。試合を締めくくるクローザーは基本的に9回しか投げないので、投球数は少ない。1球あたりの単価を計算すると、99万円だ。

先発投手は1週間に1度の投球で、1試合100球がメド。1球あたり30万~40万円台だ。そこで森の1球99万円をどう見るか。先発と異なり、全試合ベンチ入りしなくてはならないので単純に比較はできないが、投げる球の判定がストライクでもそうでなくても「100万円の束」というわけだ。

なお、ベスト10圏外(11位)だが、昨年に「投手5冠」パ・リーグMVPに選ばれたのが、山本由伸(オリックス・23)だ。2億2000万円アップの年俸3億7000万円で7年目のシーズンを迎えることになった。23歳にして、この額。新卒2年目の年齢でこのサラリーということになるだろうか。数年後にはメジャーに移籍して10億円台の年俸を得ているかもしれない。

次は、打者だ。

打者トップ(全体2位)の柳田悠岐(ソフトバンク・33)は2年連続で「打率3割25本80打点」を果たし、1000万円アップし6億2000万。02年の松井秀喜(巨人)を上回る日本人打者史上最高額となった。

3位の坂本勇人(巨人・33)は打率.271、19本塁打、打点46と、やや物足りない数字だったが、33歳にしてすでに通算2000安打を達成し、5度目のゴールデングラブ賞を受賞。歴代NO.1遊撃手の評価もあって、21年の更改で1億円アップをゲットした。

21年シーズンに20年ぶりのヤクルト日本一に貢献した主将の山田哲人(ヤクルト・29)の成績は、2年ぶりの30本90打点。5億円(7年契約)の2年目となる。

10位は前出オリックス・山本投手のチームメイトで、3番打者として2年連続首位打者になった吉田正尚(28)は、1億2000万円アップの4億円ジャスト。

では、これら超一流打者は1安打につきいくら稼ぐのか。計算すると、303万円(吉田)~522万円(坂本)と少し幅があったが400万円前後。日本人の2021年平均年収403万円(doda調べ)を1安打でまかなってしまうことになる。

プロ選手の中でも、これだけの年俸を得るのはごく一部のスターのみ。成果が出せなければ、年俸は上がらず、下がるのみで、さっさとお払い箱になるという超格差社会だ。