石原慎太郎議員に聞く「白人の優越意識は時代錯誤だ」
——あなたは最近の著書で、アメリカの対日姿勢は人種偏見に基づいていると主張したが……。
近代主義のほとんどは白人によって築かれたので、そのことが文明・文化における優越感につながっている。日本人以外の有色人種はおおむね近代化に失敗しているから、偏見が生まれるのはある意味で自然といえる。
だが日米両国が主導権を握り、高度な技術体系をベースにした新しい文明を築こうとしているときに、過去の感情に引きずられるには大きな損失だ。
——アメリカが日本の市場構造を批判するのも、人種偏見なのか。
文化というものは、違うからこそ価値がある。日本の経済社会には確かにまだ閉鎖的な部分が多いが、それを開放することと、アメリカと同じ構造にすることは別問題だ。
——アメリカの、日本に対する人種偏見の具体例を示してほしい。
『誰がビンセント・チンを殺したか』という記録映画で、若い白人工場労働者が中国人を日本人だと思い込んで殺した事件が扱われていた。日本人はけしからんと殺したわけだ。それがすべてとは言わないが、白人の潜在意識という点でアメリカの重要な側面を象徴していたと思う。
——たった一つの事件を根拠に文化全体を論じるのは危険ではないか。それでは、南京大虐殺を例に現代日本人を論じるのと同じだ。
南京大虐殺は虚構であり、でっち上げだ。日本人が多くの中国人を殺したのは確かだが、南京で大量の虐殺はなかった。だが、中国人は確かに殺されている。
——日本人に人種差別はない、と?
それはあった。今もあるだろう。ただ私は、日米両国が協力していくべき時期に、人種が違うというだけで過去の感情に引きずられるのは無意味だと思うのだ。
——アメリカが日本に対して不満を抱く理由は理解できるか。
アメリカの不満には、正当なものもある。だから私は本の中でも、日本の政治家にはアメリカに「ノー」と言う前に、日本にも「ノー」と言わねばならないと主張しているのだ。
——あなたの主張は、日本人のアメリカ観に影響を与えたと思うか。
これまでにこの国には、アメリカにはっきり「ノー」というべきときもあると主張した人はいなかった。だから、日本人は少しびっくりしたようだ。だが、激烈な調子ではなく、冷静に現状を判断する材料を読者に提供したつもりだ。