食品添加物中のリンは90%以上吸収される
しかし、無機リンのほうは違います。
無機リン、すなわち、食品添加物に入っているリンは、日々意識して減らしているかどうかで摂取量にかなり大きな差がついてしまうことになります。むしろ、リン制限を成功させられるかどうかは、この食品添加物中のリンをどれだけ減らせるかにかかっていると言ったほうがいいでしょう。
要するに、リン制限でターゲットにすべきは有機リンよりも無機リン。「食品添加物中のリンを減らすこと」にターゲットを絞って力を注いでいくほうがずっと効率がいいし、リン制限がうまくいきやすいと考えられるのです。
食品添加物中のリンが体内に入ってきたときの吸収率は90%以上です。しかも、わたしたちは毎日さまざまな食べ物から食品添加物を摂り、結果、途方もない量のリンを口にしてしまっていると思ったほうがいいでしょう。こうした大量のリンがいったいどれだけわたしたちの腎臓に負担をかけているのか、いったいどれだけわたしたちの老化を加速させることにつながっているのか。この点は、これからしっかりと研究すべき課題です。
「食品添加物が多そうなもの」を減らしていく
では、わたしたちは、こうした状況の中、どうやって食品添加物中のリンを減らしていけばいいのでしょう。
私は、いちばん手っ取り早いのは、「食品添加物が多そうなものはなるべく食べない」「食品添加物が多そうなものはなるべく買わない」という戦法をつらぬくことだと思います。つまり、「リンが入っているかどうか」なんて細かく見てもどうせ分からないから、食品添加物が多そうな食品は“どれも怪しい”“どれもリンが入っているかもしれない”と思って、できるだけ避けるようにしていきましょうというわけです。
なにしろ相手は「見えない敵」ですから、広めに網を張っておいて“これは危なそうだな”と思ったものはできるだけ摂取を控えるようにしていく。そうすれば、かなりの量の「見えない相手」を網にかけることができ、その分のリンを口に入れずに済ませられるようになるでしょう。そうやって、食卓から意識的に食品添加物を遠ざけていくのが、もっとも効率的・合理的ではないかというわけです。