医者は「病気を治す人」
医者である私が「医者の限界」を申し上げるようで恐縮なのですが、医者にできるのは病気を治すことだけです。健康で若々しく幸せに生きるための術は知りません。
そもそも「病気ではない」ことと、「健康で若々しいこと」や「幸せに生きること」は別です。
病気でない人とは、マイナス要因がない状態。ゼロの地平にいる状態です。医者による治療とは、患者のマイナスの部分を埋めてゼロの状態に戻すことです。
一方、若々しいとか幸せとかは、プラス要因を備えて上のランクにいる状態を意味します。ゼロの地平から上のランクに行くには、いまの状態に何かを足す必要があります。
自分の体が欲するものに耳を傾ける
先日、タクシーに乗ったら、運転手さんが病気との闘いについて語り始めました。
その人は糖尿病で、一度、すごい数値が出て倒れたことがあるそうです。医者に処方された薬を飲んだところ、どうにも体調が悪い。ところが友だちに「サバ缶を食え」と勧められたのでそれを食べ始めたら、体調がよくなったうえ、血糖値も安定したそうです。
「私はサバ缶を勧めますよ」。こちらが医者だと知らずに、運転手さんはそのように話を締めました。
エビデンスの出ている薬でも、効かない人がいます。その逆に、民間療法でも効く人がいます。方法は何であれ、効いたもの勝ちです。
その運転手さんは、自分の体の声を聞いたのでしょう。そして、それは大正解だったわけです。歳をとってからは、個人差がより大きくなります。自分自身の体の声を聞くということは、すごく大事です。
自分の体が欲するものは何か。それを知り、十分に足していくことで、健康で若々しく、そして幸せに生きることができると私は考えています。