東日本大震災の復旧と復興の大幅遅れ、原発事故の未収束、長期デフレの三重苦で登板した野田佳彦首相。「決まらず、動かず、進まない政治」を打破する資質と能力を備えているか。「泥鰌首相」の素顔に迫る。
10月31日、小渕恵三元首相の二女の小渕優子(自民党幹事長代理)が衆議院本会議で代表質問に立った。
「『冷めたピザ』といわれた父と『泥鰌(どじょう)』を自認される野田総理が似ていると、多くのメディアが報じたが、直面する課題に対する姿勢は天と地の差がある」
野田佳彦首相は「恐縮至極」「天と地の差という指摘は痛み入る」と答えた。
確かに2人には共通点がある。ともに人柄、低姿勢、低い重心、融和とチームワーク重視が持ち味で、牽引型や攻撃型でなく、調和型・統合型といわれる。自民党は村山富市内閣で政権奪還、橋本龍太郎内閣で衆参ねじれ発生、次に小渕登場、一方の民主党は鳩山由紀夫首相で政権獲得、菅直人首相でねじれ、その後に野田登場と、巡り合わせも同じだ。
首相就任時の政治・経済情勢も似通っている。小渕は1998年7月、「日本経済はこれ以上、落ちようがないどん底」と自ら強調した。前年11月に北海道拓殖銀行と山一証券が連続破綻し、景気が大きく失速する。98年7月の参院選で、自民党は大敗した。
野田も東日本大震災後の復旧と復興の大幅な遅れ、原発事故の未収束、長期デフレという三重苦を背負う。財政破綻、日本経済崩落、民主党政権崩壊という3つの危機が忍び寄る場面で登場した。