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「バブル後世代」は競争心は強いが消費欲求は低い

こうした3つの特徴を、深層心理の部分で突き動かしているのが、4つ目の劣等感です。調査では、半数近い46.2%が「劣等感が強いほうだ」と回答し、全体平均より16%近くも高くなっています。劣等感は、ほかの3つの特徴と関係しています。劣等感を補おうとするのが上昇志向であり、劣等感を生む他者への眼差しへの迎合が他者志向であり、劣等感の克服が競争意識につながっているのです。また、劣等感は将来への不安感につながり、このことが消費を抑制する一因となります。

バブル後世代は、小学生のときにバブル崩壊を体験しています。バブル崩壊によって、彼らの勤勉についての価値意識が180度変えられました。それまで「コツコツと勤勉に働くのはバカだ」などと言われたのが、崩壊後は「清く貧しく」働く生き方が称賛されるようになります。この勤勉性に対する社会的評価の転換や混乱は、子供たちの勤勉性に大きな影を落とし、勤勉性をうまく獲得できなかったことの裏返しに、劣等感が形成されていったと考えられます。

劣等感を決定づけたのが、就職氷河期。不況期とはいえ、社会が彼らの能力を評価しなかったことになります。「社会から見捨てられた」と感じ、他世代よりも強い劣等感を抱く傾向が生まれた、と考えられます。

異質性を排除するか 創造の起点とするか

以上のような価値観を持つ新型社員を組織の中で生かしていくために大事なことが2つあります。

まずは、彼らの異質性を認めて、それを武器として使っていくことです。

たとえば、50代以上の人から見ると、新型社員は「平気でウソをつく」ように見えるといわれます。指示したことも「聞いてません」という。ウソをつくというよりも、そのことを自分でも信じているような状態なのかもしれません。そういった行動は、年配の社員にはなかなか理解できない。ただ、価値意識のデータを見ると、5年前の価値意識と現在の価値意識は、真逆になっている。そんな世の中で精神を平衡状態に保つのは、そもそも至難の業だということも理解する必要があります。