採用水準が以前より上がっている
この要因は、コロナ禍で多くの企業の業績が下降していることによる。
各社は採用数を絞り、少数採用の方針に切り替えた。
加えて、従来の時間をかけたOJTがしづらい時勢のため、ある程度のマニュアルや業務を教えればキャッチアップできるような即戦力になる人材を求めている。
結果、各企業は積極的に優秀な人材をいち早く見つけ、獲得する傾向が強まった。
そのために各企業が活用しているのが、インターンである。
3種類あるインターン
インターンシップには3つの種類がある。
1つめが、大学1、2年生向けの「長期インターン」だ。3カ月以上かけて職業体験する。
2つめは、3年生の夏に行われる「短期インターン(夏インターン)」である。1日や2日で業務のさわりを体感する。
3つめが、3年生の秋もしくは冬に実施される「選考直結型インターン」だ。このインターンを実施する会社が近年増加している。
企業は秋冬のインターンで優秀な結果を残した学生に対して「1次面接はスキップでいいので、ぜひ本選考を受けてみないか」と連絡する。
その後、6月の本選考より前にインターン経験者のみの面接を行い、内々定を出しているのだ。
人材会社のワンキャリアによると、以下のような名だたる企業が秋のインターンの募集を行っていた。
日本郵船(10月5日締切)
東急リバブル(10月31日締切)
ブルボン(10月31日締切)
ミルボン(10月29日締切)
豊田通商(10月8日締切)
三菱鉛筆(10月24日締切)
雪印メグミルク(10月18日締切)
富士フイルム(11月2日締切)
江崎グリコ(11月2日締切)
クラレ(11月3日締切)
日本政策金融公庫(11月12日締切)
トレンドマイクロ(11月14日締切)
(出典=インターンシップ募集一覧 就活サイトONE CAREER)
早期選考の流れが続くワケ
こうしたインターンを活用した早期選考を取り入れる企業は今後もますます増えていくだろう。というのも、インターンシップから採用するのは企業にとって理にかなった行動だからである。
実際に課題をやらせてみれば、その中でコミュニケーション力があるかどうかや、論理的思考力があるかどうかはおのずとわかる。
また、面接だけでは学生の本音や素性を探るのは難しい。ましてや、「愛読書は何ですか」という質問すら就職差別につながるとしてアウトになる時代である。採用担当者は山のようにあるNG質問を避けて面接を行うため、パーソナリティーをつかみづらい悩みがある。
その点、インターンを通じて学生の思考や性格などの「素の部分」が把握できるのは企業からすればありがたい。ミスマッチが防げるし、青田買いもできるという点で、企業にとってインターンを通じた採用は非常にメリットが大きいのである。