女子学生たちの自殺の増加

自殺は未成年では、女性に限らず、男性も増えている。大人になって過ごす2年と学生時代に送る2年はその意味が全く異なるであろう。今の高校2年生は中学の卒業式もなく、入学した時からコロナ体制で、残りの1年は受験学年である。楽しい高校生活というものをほとんど知らずに卒業してしまう。中学生もしかりだ。大学生は、入学したけれど、リモートばかりで人にも会えないし、一人マンションで孤独な生活を送っている。

人格を形成する大切な時期に、人と触れ合うことができない、人と何か共同で作業し、達成感を味わうことができない、自分の実力を発揮できる場所がコロナで中止になるなど、生活全般で生きる気力を損なう出来事に遭遇してしまっている。

また、進路を決めるにも、大学を見に行けない、インターンシップもバーチャル、留学もできない、進みたかった企業はコロナで採用を実施しないなど、将来に夢が持てず、見通しが立たない。

これは男女とも共通するコロナ禍での苦悩であるが、とりわけ、女子は男子より四年制大学進学率が低く、短大の進学はほとんどを女子が占め、進学に関する悩みは男女では異なる。コロナ禍によって進路の先が狭まり、自分のやりたいことができなくなり、希望の持てない状況に陥っている学生も多くいることを見過ごさずにいたい。

性的な問題も視野に

若い女性の自殺の急増に関しては、性的な問題も視野に入れておかなければならない。

世界的にコロナ感染が拡大する中、女性の性被害については国連UNHCRも早くから警鐘を鳴らしていた。コロンビアの保健省は、2020年1月から9月までの期間中、昨年の同時期と比較して、国内のベネズエラ人が被害を受けた性暴力事件が約40%近く増加したと報告している。このほか、欧米においてもロックダウン中にDVや虐待の増加の報告は早くからなされてきた。

実際、わが国でも2020年の「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」への相談件数は前年より増えている。要因としては、家庭内での性的DV・虐待の悪化、外出自粛によって外に出られないため性的なデートDVが増えた可能性などがある。また、交際相手を探せるマッチングアプリやSNSなどの利用が増え、知り合った相手から性被害を受けるケースも増加している。

助産師やチャイルドラインなどのヒアリングでも、「妊娠に関する相談は増えている」ということであった。昨今の報道等を見ても、若い母親が子どもを産み、殺害してしまうケースが相次いでおり、望まない妊娠や相談できない出産が増えていることが伺える。

コロナ禍における若い女性の自殺の急増を考える時、性の問題は無視できない要因だと考えている。