このところ米国株投資が人気だが、すでにバブルの状態で「これから投資しても儲からないのではないか」との心配もある。専業投資家のまつのすけさんは「米国株はすでにバブルに足を踏み入れているが、まだ2、3年は崩壊することはないだろう」という――。

※本稿は、まつのすけ『33歳で1億円達成した僕が実践する一生モノの億超え投資法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

星条旗とウォール街の標識
写真=iStock.com/Fabrice Cabaud
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分散投資は万能ではない

堅実な資産形成のためには「長期・分散・積立」が基本だといわれます。たしかにその通りかもしれません。ほったらかしでタイミング・リスクを抑えながら資産を増やすには、この3つが大事です。

しかし、「長期・分散・積立」を守れば、必ず資産を増やせるわけではありません。金融市場の影響を受けるからです。

積立投資で最大の効果が発揮されるのは、積立をしている初期~中期は相場が下がり、元本が積み上がった最後の数年で急上昇した場合です。逆に積立をしている間は順調に相場が上昇し、最後の数年で大きく下落した場合には、株価は上昇しているのに元本割れすることすらあります。

20~30年といった長期投資でも、「いつ始めていつ終わるか」が生涯のパフォーマンスに決定的な影響を及ぼすほど重要なので、運に大きく左右されます。

金融庁も認めた積立投資のデメリットとは

金融庁の「資産・地域を分散して積立投資を行った場合の運用成果の実績」においては、保有期間20年という長期投資でも年率2%から8%まで大きなばらつきが生じています。

日本経済新聞の「荒波越える長期積み立て」という記事でも、「時期によって投資リターンは異なる」というデータが解析されました。

「資産額の累計投資額に対する倍率(1990年~2018年)」では、30年間積立(先進国株投信)の場合、約1.7~5.8倍と大きな格差が生じています。

・5年間積立:約▲50%~+100%
・20年間積立:約±0%~+300%
・30年間積立:約+70%~+480%

まったく同じ投資手法で20~30年という遠大な時間の長期積立投資を行った場合でも、時期によってパフォーマンスに圧倒的な差が生じています。

投資の名著と知られているチャールズ・エリス著『敗者のゲーム(新版)なぜ資産運用に勝てないのか』(日本経済新聞社)にも、以下の記述があります。「投資終了時期の設定こそが運用成果に決定的影響力を持つ。ほとんどの場合、投資家の運用成果を決定する最も重要な要素は、その技術ではなく、開始時期と終了時期の選択である」

分散投資も有効ですが、万能ではありません。リーマン・ショックやコロナ・ショックなどの危機の際には、どんな資産を持っていても価格は下がってしまいます。長期投資は、途中で相場が下がることがあっても挽回を待つことができるので有効ですが、やはりいつ投資をやめるかが問題です。やめる直前に相場が下がってしまえば資産が大きく目減りしてしまいます。