「“動くアルバム”ってご存じですか?」
お孫さんと撮ったり、旅行に行ったときに撮ったり。きっと近所にいるお友だちも、みんなそういう自分のアルバムを持っていますよね。いま若い人たちはね、そんな自分のアルバムを、世界中の人に見せることを楽しんでいるんですよ。
しかもね、そのアルバムは写真じゃなくて、テレビみたいに声が出せて動くんですよ。みんな、この“動くアルバム”を携帯電話の中に入れて持っていて、いろんな人に見せることを楽しんでいるんです。
たとえば「いま元気だよ〜」とか、「おいしいもの食べたよ〜」とか、「旅行に行ってきたよ〜」みたいなことが、いつでもテレビみたいにお友だちに見せることができるし、おばあちゃんもお友だちのを観ることができるんです。
さらにね、もっとすごいことがあるんです。おばあちゃんが、これまで観ていたテレビ番組って、テレビ局の人が作っていたでしょう? でも、この“動くアルバム”は、自分の番組を自分で作ることができるんです。ちょっと顔を綺麗にしたり、面白い装飾をしたり、音楽も流せたり、とっても楽しいんですよ。
おばあちゃんが知っている写真のアルバムって、眺めるとその人のことがとてもよくわかりますよね。それと同じように、この“動くアルバム”も、観ているとその人のことがとてもよくわかるんです。名前はTikTokって呼びます。もしよかったら、ちょっと観てみませんか?
説明の定石は「主張→例→比喩」の順序
相手は90歳の方ですので、おそらくビジネスパーソンではないでしょう。端的に結論から説明をする必要はないと考えます。また、TikTokを、業界用語でちゃんと理解するのは困難と考え、「なんとなくわかった」状態、つまり感覚的にわかった状態を目指すことにします。こんなときに有効なのが、例(Example)と比喩(Metaphor)です。
説明の定石は「主張→例→比喩」の順序です。しかし、ここでは、とにかく感覚的につかめることを重視します。わからない話や知らない言葉が登場することで、それ以降の説明が成立しないことを危惧し、私は「比喩→主張→例→比喩」で説明することを試みました。
まずはTikTokと似た構造をしているもので、かつ90歳の方でも知っている(想像できる)ものを考えます。私は「アルバム(写真)」としました。これを導入に位置づけ、TikTokと似たものを想起していただくようにします。
実際に説明する際には、冒頭で“動くアルバム”というキーワードを伝え、いまから始まる話は「アルバムみたいな何かのこと」であると、感覚的に理解してもらいます。次に、理解してもらいたい主張、つまりTikTokとはどういうものかを説明するため、特徴を3つあげる構成にしました。