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民主派メディア創業者と活動家が相次ぎ逮捕
香港での民主化活動を抑える目的とされる香港国家安全維持法(国安法)が施行された。同法がどのように運用されるのか香港市民はもとより、欧米諸国が懐疑的に見守る中、民主化運動の象徴的な人物2人が逮捕、というニュースが飛び込んできた。
ひとりは、徹底的に民主派寄りの新聞「蘋果(りんご)日報」創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏(71)。そしてもうひとりは、日本語を巧みに操り、日本のメディアにもたびたび登場している周庭(アグネス・チョウ)氏(23)。いずれも国安法違反容疑で2020年8月10日に逮捕された。結果として、2人は逮捕から24時間余りたった翌日夜に保釈され、自宅に戻ることができた。しかし、当局は引き続き両氏について捜査を続け、起訴を目指すとしている。
国安法違反の最高罰則は終身刑または10年以上の懲役と定められている。「アグネスさんがこのまま牢屋から出られないのではないか?」「本土に送られて、厳しい罰を受けるのではないか?」といった懸念から、日本でも彼女への支援を示すハッシュタグが一時はトレンドのトップになるほどの関心を呼んだ。
「4回逮捕で今回が一番怖かった」と語った理由
国安法の条文解釈をめぐっては、法律の専門家らも首をかしげる部分が多いとされる。
「法の規定が曖昧で、中国中央政府による恣意的な対応がなされる可能性が強い」というのが大方の見方で、どのように運用されるのか判然としない部分がある。その上、「香港特別行政区の現行法と国安法が一致しない場合、国安法の規定を適用する」とあり、これがいわば、イギリスをはじめとする各国が「香港の高度な自治を保障した一国二制度を踏みにじるもの」という批判を行う根拠にもなっている。
周氏は11日に保釈された後、日本のメディアなどからの質問に答えた。
「当局は、私が7月以降にSNSなどを使って外国の勢力とつながったことが逮捕理由だ、と言っているが、どのSNSの内容が問題なのか、私とどう関係があるのかについて何も説明してくれていない」とし、「私は依然として、今回の逮捕理由が何なのかよく解らない」と話している。