景気低迷、雇用不安、格差拡大……経済の低迷がまだしばらく続く中、何を指針として我々は働けばよいのか。現状と対策を識者3人に聞いた。

家庭

図9/図10/図11
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図9/図10/図11

格差の拡大につれて低収入で結婚できない人が増えたといわれているが、実際はどうなのか。今回浮かび上がったのは、“年収500万円の壁”だ。30代の年収別既婚率を見ると、年収700万円以上の人が8~9割前後の既婚率であるのに対し、年収500万円未満は57.6%と下落(図9)。中央大学文学部教授の山田昌弘氏は、こう解説する。

「いまの女性は、夫婦合わせて年収700万円が結婚のボーダーライン。最近は女性が保守化して専業主婦志向が強いため、一人で稼ぐ場合はさらに壁が高くなります。大卒男性は、年収500万円あたりが結婚できるかどうかの境目です」

図12/図13
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図12/図13

山田氏は“婚活”ブームの生みの親だが、09年も婚活は健在。男女別で見ると、女性のほうがやや積極的だ(図12)。

「男性が求められる条件は一元的で、データ(年収・身長など)で未婚・既婚がほぼ決まります。一方、女性に求められる条件は多様で、高収入・高身長でない女性を好む男性もいる。そのため男性より女性のほうが婚活の限界効用が大きく、相手探しにやりがいを見いだしやすい」

男性の年収は、結婚後の家事にも影響を与える。アンケートでは年収が高い世帯ほど夫が家事をしない傾向が強かったが(図13)、山田氏は「年収の額より、夫婦間の年収差が直接的な理由」という。