「今すぐ3000円投資をしたい」なら、今すぐ家計改善を

恐らく、その状況を改善したかったのでしょう。毎月平均3万円の赤字、預貯金は複数の口座の額を合計すれば120万円あるかというところでしたが、相談にやってきて「3000円投資をしたい」とのです。

3000円投資とは、主に投資初心者向けに私が書籍などでお薦めしているものです。毎月たった3000円の積み立てですが、年率3%の投資信託で30年間続けると、総投資額108万円に対して、利益は約66万円となり資産額は174万円に。また、投資に慣れ、1年ごとに1000円ずつ投資額をアップすると、30年後には総投資額630万円に対して利益は258万円、総資産額は888万円にまで増加します。

ただし、大前提として3000円投資は貯金をしながらその一部を投資に回していくものです。収入が増えたり、支出を見直したりして毎月の余剰金が増えるなら、投資額を増やすなどして、将来へ送る金額を多くし、20年、30年後の資産形成を目指すのです。

金川さん宅の場合、月3万円赤字の状況では、貯金するお金も、投資原資となるお金も出せません。ボーナスも毎月の赤字補塡、年に数回の帰省などの費用でなくなっている状況ですから、投資を始めるとさらに赤字に傾き、家計状況がおかしくなってしまいます。つまり、家計の立て直しを優先しなければ、金川さんのお金面の状況は、どうにも改善していけないのです。

「化粧品代」は月1万8000円だったが、これを0円にする

やはり支出の改善を考えることが優先事項になります。

メタボ家計BEFORE→AFTER

昌弘さんのほうはすでに支出カットを独自に始めていたので、由紀子さんの支出を中心にメスを入れざるを得ません。会社に出勤していた暮らしから家で育児という暮らし方に変わったため、化粧品は必要最低限に抑える(1万8000円→0円)、そしてその化粧品代は家計から出さず、由紀子さんの小遣いを少し増額してやりくりしてもらうことに(小遣い4万円→4万5000円)。かつて計上していた交際費(1万円)、娯楽費(1万3000円)もこの小遣い内に収めました。

今までよりかなり制限されるため、やりくりは厳しいともいますが、小遣いは5000円だけアップし、何とか頑張ってみることにしました。

また、旅行積立は、家計状況がよくなるまで中止(1万円→0円)。他、食費はムダな食材を出さない、買いすぎないなど基本的なことにしっかりと取り組むスタンスに(5万4000円→4万8000円)水道光熱費は、入浴時の湯の使い方の注意と、賃貸住宅ではありましたが電気小売事業者の変更が可能でしたので、その変更をして削減を試みました(2万6000円→2万1000円)。使途不明金もできるだけ減らすようにし、こまごまとした節約も加えながら、合計で5万円ほど支出を削減することが可能になりました。