義務教育でのスタートでも手遅れではない

「早いほうがいいの? じゃあ、うちの子はもう間に合わないかな……」

そんなことはありません。英語の専門職、たとえば通訳者や私を含む翻訳者の多くが、中学の義務教育で英語学習をスタートさせています。

中学以降、なんなら大人になってからでもリスニング力はじゅうぶんに伸びます。完全なバイリンガルにはなれないかもしれませんが、年齢が上がったほうが、論理的に英語の構造を理解して、興味や専門に合わせてボキャブラリーを増やすといった工夫がしやすいため、自分にとって使える英語を問題なく習得することができます。

そうして、英語専門職としてベテランと呼ばれる域に達してからも、コツコツと毎日資料を集めて読んだり、リスニング力を鍛えたり、辞書で単語を調べたりして、仕事に使える英語力をさらに伸ばすために努力を続けているのです(私もその1人です……)。

始めるなら「今」

英語学習に「遅すぎる」はありません。もちろん英語に触れる時間量は多いに越したことはないので、「今」から始めましょう。

ただし、年齢が上がるごとに「英語の罠」が多くなります。外的要因に英語習得を阻まれる機会が増えるのです。

・私立中学(または高校)に入学したら英語の進度が早くてついていけない……
・他の教科や部活に時間を取られて英語に時間が割けない……

などが、よくある「英語の罠」のパターンです。

こういった罠にはまって英語嫌いになってしまった、というお子さんの話を、英語が得意な知り合いから、意外とよく聞きます。「自分が得意だったから、英語を習わせなくても子どもが自然に覚えてくれると思っていた……」と言うのですが、それもやはり「英語の罠」。

昔と比べて早期から英語を始めるお子さんが増えていますから、小学校英語、あるいは中学英語のスタート時点で周囲との差を感じ、自信ややる気をなくしてしまうケースもありますので、注意してあげてくださいね。

学校の教室でストレスを感じ、試験を受ける学生
写真=iStock.com/arrowsmith2
※写真はイメージです

そうした罠に気を付ければ、学校教育に合わせてのスタートでも習得自体は問題ありません。義務教育から英語を始めて得意になる子どもには、「英語を学習しようという意欲がある」という特徴があります。そんなお子さんは、積極的に単語を覚えて、教科書を暗記し、英語の文化に興味を持ち、ホームステイや留学をして、英語を身につけていきます。意欲にまさる勉強法はありません。