アルバイトや契約社員など、非正社員に対する風当たりがますます強まる昨今だが、法律は、正社員と非正社員とを特に区別せず、同じ「労働者」としていることをご存じだろうか。
契約社員や期間工には雇用期間の定めがあり、パートやアルバイトの労働時間は比較的短い。それらの特殊性を除けば、正社員と呼ばれる労働者と何も変わらないのが建前だ。
しかし、日本国内においては、たとえ同じ業務内容でも、雇用形態などによって賃金などの待遇に差を設けること自体は適法だと解されている。そのため、労働者間の平等的取り扱いは、有名無実となっているのが現状といえよう。
今回は、期間の定めがある雇用形態の問題について考えたい。たとえば「雇用期間6カ月間」と定められていた契約社員について、過去に雇用契約が3度にわたり更新されていたとする。そして、雇用開始から丸2年が経過し、4回目の期限が到来した段階で、使用者から「明日から来なくていい」と告げられた契約社員は、逆に雇用主へ4回目の契約更新を要求した。この場合、契約社員の主張は認められるべきであろうか。
「期限が切れたんだから、契約終了で当然」とも思える。そのとおり、常識的に導かれうる帰結だ。また、企業経営にとって人件費はコストであり、削減すれば当面の利益は確保できるメリットもある。
だが、雇用契約は、労働者の生活を支える命綱ともいえる。そのうえ、使用者とは事実上の立場の差が存在するため、労働者は仕方なく不利な契約を結ばざるをえない状況に追い込まれやすい。
こうした場合、労働法の理論はあえて、労働者の側に肩入れし「期限が切れたら契約終了」という一般原則を修正していく。それが法律というものに備わる独特のバランス感覚なのである。
「このケースでは、契約社員に更新期待権が生じており、その主張を認めるべきと考えられる」と話すのは、「年金博士」としてテレビ番組等に多数出演していることで著名な北村庄吾氏。こうした雇用関係の法律問題にも精通する社会保険労務士である。