アフガニスタン紛争はいらない戦争だった

2021年8月15日、タリバンがアフガニスタンの首都カブールを制圧した。カブールの空港周辺で「イスラム国ホラサン州」(IS-K)による大規模な自爆テロが起こるなど、予断を許さない状況が続いている。

アフガニスタンおよび周辺地域の地図。
アフガニスタンおよび周辺地域の地図。

バイデン米大統領は、4月にアフガニスタン侵攻の発端となった9月11日までに駐留米軍完全撤退と発表していたが、7月になって急遽8月末までに完了すると予定を繰り上げた。しかしその半月前に、タリバンはカブールを制圧し、アシュラフ・ガニ大統領は「軍事衝突を避けるため」と逃げ出し、アラブ首長国連邦(UAE)に亡命した。バイデンもこの急展開に「正直、予想より早い」と驚いていたぐらいだ。

米軍はこの20年間に200兆円を超える戦費をかけ、アフガンの復興と平和維持に努めてきた。その間に戦闘やテロによって24万人以上が死亡し、米軍は2400人以上、NATO(北大西洋条約機構)軍は1100人以上の死者を出したという報告がある。

それだけ犠牲を払って築いた体制がこの数カ月で崩壊し、タリバンが再び政権を握ったのだから、アメリカは完全な敗北だ。大きなトラウマを残したベトナム戦争より損失は大きい。