中国人特有の消費傾向

さらにいえば中国の人たちには、特有の消費傾向があります。それは「世界に向けてつくられた、最高品質のものが好き」というもの。この傾向が富裕層だけでなく、幅広い層に見られるのです。つまり中国人は日本製が好きではあるけれど、実際のところはそれよりもっといいもの、つまり「世界で一番いいもの」を求めています。

日本人は「松竹梅」のランクがあれば、真ん中の「竹」を選ぶ人が圧倒的多数でしょう。ところが中国の人たちは、「松竹梅」なら「絶対に松」という人が多い。

たとえば日本国内でも高価なオーガニックコットンの赤ちゃん用おむつは販売されていますが、決してそれが売り上げの第一位にはなりません。ところが中国では、そういう最高級品が発売されるとみんながそれに殺到する傾向があります。一番価格の高いものが一番人気になる、という逆三角形を描くのです。

ましてや化粧品のようにイメージが重要な商品では、一番人気がランコムやエスティローダーなど欧米のブランド。次に日本のブランド。その次に中国のブランドという順番です。

欧米の高級ブランドが圧倒的に強い

越境ECの天描(Tモール)ダブルイレブン(独身の日)セールでの化粧品の売り上げでも、仏ロレアルパリ・仏ランコム・米エスティ ローダーがトップ3を独占。資生堂ブランドは8位、クレ・ド・ポー ボーテは18位でした。

かつて、クレ・ド・ポー ボーテの高額商品がインバウンドで爆買いされたことが大きなニュースになりましたが、それは日本という旅行先で買物をするとしたらという条件付き。日本の中ではクレ・ド・ポー ボーテが最高のブランドとして人気を集めたのです。しかし、越境ECのように世界中のブランドが集結する場では、欧米ブランドの人気が圧倒的なのです。

いま日本の製品は、高品質なのに割安という理由から好調に売れていますが、それは社会の真ん中の層にいる人たちが、まだ世界の最高級品には手が出ないので、やむをえず日本製を選んでいるだけという可能性があります。今後、中国がさらに豊かになれば、日本製は厳しい状況に置かれるおそれがあるのです。

いまは日本のブランドも好調に売れていますが、それは社会の真ん中の層にいる人たちが、まだ世界の最高級品には手が出ないので、やむをえず日本製を選んでいるだけというおそれがあります。今後、中国がさらに豊かになれば、日本製は厳しい状況に置かれる可能性があるのです。