報奨金がバロメーターに

スポーツジャーナリストの生島淳さんはこう語る。

「報奨金は、各統括団体の力を示す一つのバロメーターです。財政をどうしっかりと作り、選手の強化にどれほど資金を回せるかが問われる。卓球は伊藤美誠などスター選手がいて、18年には国内リーグも開幕。常に注目をされているのは大きいでしょうね。人気を集めれば、スポンサーもつき財政基盤もしっかりしてきます」

ただ、日本体操協会では、過去のオリンピックではメダリストらに特別報奨金を出してきている。16年のリオ大会では個人総合でオリンピック連覇をした内村航平に会長報奨金400万円、団体優勝した各選手に特別報奨金250万円などを追加で支給している。今回も出される可能性があるため、橋本のトップもあり得る。

メダリスト報奨金ランキング
AERAdot.編集部調べ

今大会、最もメダルを獲得した柔道はどうか。

各階級で金メダルを獲得したのは高藤直寿、阿部詩、阿部一二三、大野将平、永瀬貴規、新井千鶴、濵田尚里、ウルフ・アロン、素根輝の9人。また、混合団体には12人の選手のうち、金メダリストからは高藤以外の8人がエントリーされた。表を見てほしい。各階級で金、さらに混合団体でも銀を取った選手の報奨金は700万円と5位だった。競泳と同様にJOCからの支給だけで、全日本柔道連盟からの報奨金がないためだ。

報奨金を出さない理由について、同連盟の担当者は「全ての強化事業において当連盟が費用を負担しており、広く次世代のオリンピック選手の育成に努めているため」と言う。

華々しい活躍で支給も

一方で、あまりに目覚ましい活躍だったがゆえに、これから支給を検討するところもある。フェンシングでは男子エペ団体で加納虹輝、見延和靖、山田優、宇山賢が金メダルを獲得した。現状はJOCからの500万円のみだが、日本フェンシング協会では「総額500万円をベースに積み増しができないか調整中」(広報担当)という。

今大会から初めて五輪競技となったサーフィンでは、五十嵐カノアが銀メダル、都筑有夢路が銅メダルを獲得した。報奨金については五十嵐が200万円で29位、都筑が100万円で40位だが、日本サーフィン連盟では増額させるべく寄付を一般から募っている。1口1万円で、最大5口まで。寄付をすると、オリジナルのポロシャツやピンバッジなど記念品がついてくる。担当者はこう期待をにじませる。

「選手に頑張ってもらいたいという思いから競技前に始めたが、嬉しいことに2人もメダル獲得したので、予定を延長して寄付を受け付けています。是非支援につなげたい」

3大会ぶりに五輪競技に復活し、金メダルとなった女子ソフトボールは、報奨金は500万円で14位。日本ソフトボール協会から選手への報奨金はゼロになっている。しかし、JOCからは支給されない監督らに報奨金を支給する。監督は500万円、コーチ・マネージャーが200万円、トレーナーが100万になっているという。「監督らも功労者。JOCから出ないので、協会から出すようにしている」(担当者)。