イーロン・マスクが実践している選択軸
電気自動車を開発する「テスラ」や宇宙ロケットを製造開発する「スペースX」を創業したのが、イーロン・マスクです。彼が実践している選択軸は、一風変わったものです。
それは、「クレバー/フーリッシュ・マトリクス」という軸です。イーロン・マスクは、事業を始めるときにこのクレバー/フーリッシュの軸に照らし合わせて、「やる/やらない」を決めています。
直訳すると、クレバーとは、賢い。フーリッシュとは愚か。イーロン・マスクが軸としているものは、クレバーが挑戦に値すること、フーリッシュが挑戦する価値がないことと、とらえてもいいでしょう。
自分から見てクレバーかフーリッシュかを横軸に、他人から見てフーリッシュかクレバーかを縦軸にしていくと、マトリクスが完成します。そこには、次の4つのゾーンが出現します。
①自分から見て賢いと思う&他人から見て愚かだと思う
②自分から見て賢いと思う&他人から見て賢いと思う
③自分から見て愚かだと思う&他人から見て愚かだと思う
④自分から見て愚かだと思う&他人から見て賢いと思う
この4つのゾーンのうち、イーロン・マスクが重視するのは①です。他人から見ると愚かに見えても、自分にすれば賢いと思えるものこそ事業として取り組むべきというのが、彼の考え方です。
ついでに言えば、他人が愚かだと思っているにもかかわらず、自分1人だけが賢いと思っているとしたら、事業の成功率は高くなります。なぜなら誰もやろうとしないから。
他人にどう思われるかは関係ない
愚かだと思うことは、人はやらないものです。多くの人がそう思えば、なおさら。とは言え、自分自身がやることに関して、他人がどう思うかは本来、関係のないことです。
やりたければやればいいし、それを他人が「愚かだ」と思ったとしても、やらない理由にはなりません。「『愚かだ』と思う人が多いから、やらない」という選択を下したとしたら、世間体をあまりにも気にしすぎています。
イーロン・マスクのような起業家は、自分がやりたいことをトコトンやって、それを成功させることに生きがいを感じる人たちです。世間の人が「愚かだ」と思うことをするのを気にしていないし、そう思われることをやっているとしたら、逆に参入する人がいなくなって「シメシメ」と、ほくそ笑むことでしょう。