メディアが反権力の旗印ではなくなってしまった
しかしその一件があって、私は痛感しました。新聞や出版やテレビというメディアが、もはや反権力の旗印などではなく、エスタブリッシュメントの側になってしまったのだと。そうなると新聞では朝日新聞、放送ではNHKが、エスタブリッシュメントの中のさらにエスタブリッシュメントのような存在と化してしまっている。これでは第一勧銀とNHKが就職先として天秤にかけられるのも仕方ないことです。あのとき、世の中変わってきたなあと思いました。
でも、いまはさらに世の中が変化して、NHKがエスタブリッシュメントであると見ている人ばかりではないでしょう。幸か不幸か、新聞社を志望する学生は激減していますし、放送局も報道志望はいなくなりつつあります。NHKも民放も、事業やイベントの部門は人気だそうですが、報道の現場は過酷な職場だと知れわたり人気は落ちる一方です。社会の変化が激しい時代に、大学教育はどうあるべきか、学生たちの就職活動の変化をベースに考えることも必要なのでしょう。