こうした「厳格な管理」という建前があるため、前出の女性は「良識ある行動をする外国人も多い」と話す。だが、人によって意識の差も感じるという。

「例えば入口に設置されている消毒液は、ちゃんと使う人もいますが、やらない人もけっこういます。マスクの付け方も、鼻マスクの状態の人もいますし、屋内で堂々とマスクを外して会話をしている様子も見たことがあります。最近は、中国人関係者の団体行動が目立ちます。20人ぐらいが密になって、至近距離でしゃべっているのを見ると、心配になります」

東京五輪は、選手らと外部の人々との接触を断つ「バブル方式」を標榜しており、市中感染は許されない。だが、不特定多数の人がいる屋外での海外関係者らの行動にも疑問を感じることがあるという。

「ランチタイムには、駅とビッグサイトの間のベンチで外国人関係者たちが5人ほど集まって、テイクアウトしたマックのハンバーガーを食べながら談笑しているのを見ました。朝の出勤時や18時ごろの帰り時になると、首からアクレディテーションカード(参加資格証)をぶら下げた外国人たちが、ゆりかもめや都バスにゾロゾロと乗り込んでいきます。移動や食事については厳しくルールを定めているはずですが、けっこう緩いんだなという印象です」

これらの証言をもとに、記者も6日午後、実際にビッグサイト周辺の様子を確かめに行った。

東京ビックサイト駅からビッグサイトまでの道中、2人組の男性がマスクを外して、コンビニで買ったと思われるチョコレート菓子を食べ歩いている姿があった。手にはポッキーの箱。首には五輪関係者であることを示すアクレディテーションカードをぶらさげている。どこの国から来たのか英語で尋ねると、「Spanish」とだけ答え、ゲートの中へと入っていった。

この日は時折雨もぱらつく曇り空で、じめっとした蒸し暑い気候だった。マスクがうっとうしくなったのか、ビッグサイトから出てきた6人組の外国人グループのうち2人がマスクを外し、談笑しながら最寄り駅へと歩いていく姿などもあった。