市場の影の支配者は「思惑」

問題はその変動の大きさと持続性である。需給環境が一日で一変することはあり得ず、徐々に変化していくはずである。だが、実際には価格は激しく動く。その結果、今回のような急落が発生することになる。

なぜそのようなことが起きるかといえば、「思惑」が市場を支配しているからにほかならない。

コモディティは先物市場でも取引されるため、現物業者だけでなく、先物市場で運用するヘッジファンドなどの投機筋の動向の影響も受けやすい傾向にある。これらの投機筋は、それぞれの思惑で投資判断を行い、先物市場で取引をするのだが、価格の方向性についていく運用手法を取り入れる向きが多い。

これは一般的に「トレンドフォロー」と呼ばれ、いわゆる“順張り”での取引を主とする運用である。

したがって、価格が上がりだすと、彼らは買いを入れ続け、結果的にそれが価格を押し上げることになる。一方、下がり始めると、その下げに追随するように売りを仕掛けてくる。その結果、価格が短期間で大きく下げることになる。

保有するコモディティの価値は日々劣化する

このように、実際のコモディティ価格は、短期間で見ると上下動することが少なくないのである。いわゆる「ボラティリティ(価格変動率)」が他の金融資産などと比べて高い傾向があるからやっかいである。

このような市場で個人投資家が取引するのは、きわめて難しい。

「安い」と感じたという理由だけで買うと、投機筋が売り仕掛けてくるため、いわゆる“押し目買い”にならずにさらに価格が下がってしまうことはよくある。したがって、コモディティは株式投資のように押し目買いを行い、長期で保有することはできないのである。

とくに農産物などは保管期限が限られる。「腐る」からである。長く保有すればするだけ、価値は劣化していく。つまり、現物価格の水準が変わらなくても、保有しているコモディティの価値は、実際には日々劣化しているのである。

この点を理解していない金融市場関係者はいまだに少なくない。まして、個人投資家のほとんどは理解していないだろう。