共感型対話と問題解決型対話

対話には、2種類ある。

共感し合うための対話と、問題解決のための対話。前者は、通常、質問から始めない。

私は、「息子が話をしてくれない」と嘆いた二人の友人に、同じ質問をした。──あなたは、久しぶりに会った親しい友人が、素敵なスカートをはいているのに気づいたとき、いきなり「そのスカート、いつ買ったの?」なんて、問い詰める? 普通は、「そのスカート、素敵ね」と声をかけるのでは?

二人とも、「たしかに」とうなずいた。言われた身になってみれば、いきなり「いつ買ったの?」と質されたら、ちょっとひるむに違いない。「何か問題でも?」と不安になるからだ。似合わない? 季節はずれ? 誰かと被った? まさか、今日になって、半額になったとか?

そう、女は、「心を通わせるために会った」友人に、いきなり5W1Hの質問なんかしない。何か問題があって、それを指摘しないわけにはいかない場合を除いて。なのに、子どもにはこれをする。

夫の話法が、妻を不機嫌にさせる

そもそも、いきなりの5W1Hは、男たちがよくやる話法である。

あるとき、50代と思しき管理職男性からの質問を受けた。「なぜ、女性は質問にまっすぐに答えないのでしょうか」

先日家に帰ったら、妻が見慣れないスカートをはいていた。新しいのかなと思い、「そのスカート、いつ買ったの?」と聞いたら、少し不機嫌そうに「安かったから」と答えた。妻が5W1Hに答えないのはよくあることで、ずっと不思議だった。なぜ、まっすぐに答えないのだろうか?

やれやれ、お気の毒に、と私は思った。この男性は、「(このスカート、新しいのかなぁ)いつ、買ったの?」と尋ねているのだ。しかし、この質問、家計を預かっている者にとっては、「(俺に黙って)いつ買ったの?」と聞こえる。だから、「(あなたに黙って買ったのは)安かったから」と答えているのだ。妻の側には、マウンティングされたような不快感が残る。当然、話は弾まず、こんなことが度重なれば、夫は、妻に話しかける勇気を失っていく。

困難な関係
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あるいは、妻がしたことに対して、夫が「どうして、こうしたの?」と質すことがある。たとえば、新しい三段ボックスをリビングに置いたときとか。妻にしてみれば、「なんか、文句ある? この辺がいっこうに片付かないのに、あなたが、何もしてくれないからじゃないの!」と逆上しそうになる。

けれども、多くの場合、夫は、純粋に「そうした理由」を聞いているのである。妻は、明るく「この辺が片付かないから、こうしてみたの。いいでしょ?」と答えればいい。「うん。あ、もう10センチ、こっちにずらせば、これも置けるよ」「ほんとね!」なんて話が弾むかもしれない(保証の限りではないけど)。