日本に厳しく接すれば韓国企業に影響が

他方で、TSMCに次ぐ世界第2位のファウンドリーであるサムスン電子などの韓国の半導体産業も、わが国の半導体部材などを必要とする。それは、本邦企業が韓国に直接投資を行っていることから確認できる。文大統領が主張したように、韓国企業が“99.999999999%(イレブンナイン)”の超高純度のフッ化水素などで作られた半導体部材などをより効率的に生産できるのであれば、わが国企業が韓国に直接投資を行う合理性は見出しづらい。

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国と国レベルの信頼感は、各国企業の信用供与や取引に無視できない影響を与える。日米台、さらには欧州が連携を進める中、文大統領がわが国に厳しい姿勢をとり続ければ、韓国の企業には無視できない影響があるだろう。それは韓国経済にマイナスの影響を与える恐れがある。

その結果として景気回復の勢いが弱まれば、文氏の支持率にも影響があるだろう。そうした考えをもとに、1月以降、文氏の対日姿勢に変化の兆しが現れ、それがソウル中央地裁の判断に何らかの影響を与えた可能性はあるだろう。

“最悪”の日韓関係は改善される?

ただし、今回の司法判断が日韓の関係改善につながると考えるのは早計だ。韓国主要紙の中には、ソウル中央地裁の判断に批判的な論考を掲載するものがある。また、文氏は請求権問題を自国で解決すると明言してはいないようだ。変化の兆しが見られることは重要だが、先行きは慎重に考える必要がある。

わが国は毅然と、是々非々の姿勢で韓国に対応すればよい。ポイントは、わが国が、韓国に、最終的かつ不可逆的な請求権問題などの解消を明記した政府間協定の遵守を冷静に求め、それに関する国際世論の賛同を得ることだ。

現在、わが国の精密な工作機械や高純度の半導体部材などの素材創出力は、国際的な競争力を発揮している。わが国に求められることは、安全保障面では米国との関係を基礎に、民間企業の精緻かつ微細なモノづくり力に磨きをかけることだ。それが、韓国からも、台湾からも、米中からもより必要とされるわが国の立場を支えるだろう。