アップデートが必要な人ほど、その必要性に気づいていない
区役所で元気そうな70代半ばくらいの男性が、新型コロナワクチン接種の予約が取れないのでどうしたらいいかと、受付の女性スタッフに相談していました。
会話から「僕は携帯電話を持たない主義なんだ」という声が聞こえてきました。ガラケーすら使わない人がスマートフォンを持っているとは思えず、自宅には恐らくネットに接続する環境がないのでしょう。固定電話から予約窓口に電話しても、混雑していてつながらず、やむなく区役所に足を運んだようです。
内閣府が2020年秋に実施した世論調査(情報通信機器の利活⽤に関する世論調査)では、60~69歳の25.7%、70歳以上の57.8%がスマートフォンやタブレット端末などを使っていないと回答しています。総務省は、スマートフォンなどを使えない60歳以上の高齢者が約2000万人いると推計しています。
だとすれば三度にわたる緊急事態宣言が発出された際に、こうした人たちはネット通販やネット注文によるデリバリーサービスを活用できずにいた可能性があります。今やスマートフォン一つで何でもできる時代ですが、70歳以上の半数以上は、その恩恵を受けることができていないのです。
アップデートが必要なのは機械だけでなく、私たち人間にこそ必要なことに気づかされます。機械と違い、人は買い替えたり、取り替えたりすることはできません。残念なことですが、アップデートが必要な人ほど、その必要性に気づいていないのです。
アップデートを拒んだディズニー社の顚末
「アップデートが必要だ」と言っても、そう簡単にできることではありません。なぜなら、過去に成功体験があればあるほど、それに固執してしまうからです。
その好例がディズニー社です。