投資が投資を呼ぶ好循環

京都は、他の多くの国内リゾートとは違い、海外観光客だけではなく、海外富裕層をも惹きつけてきたため、インバウンド需要がゼロになっても、活気を失っていないのだ。コロナ禍でも、京都に不動産を既に所有する国内外の富裕層の多くは、耐久力があり、投資の目的が長期・安定保有であるため、売り急ぐことがない点も大きい。

世界的な金融緩和策の影響もある。京都においては、その世界的なブランド力のおかげで国内外の富裕層が集まることで、良質な不動産の投資機会が供給されている。それによってステータスがさらに高まり、資産価値が上昇することで、さらなる開発や投資が行われるという、投資が投資を呼ぶ好循環が続いているのだ。

虫眼鏡を手に不動産を見比べ
写真=iStock.com/sommart
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景観規制や別荘税すら、京都の価値を高める

京都の特色の一つに、厳しい景観規制によって、古都の風情が保持されていることが挙げられる。2007年9月に新景観政策が導入され、建物の高さやデザイン、色等の規制が強化された。不動産投資の観点からいうと、京都の不動産は、容積率等に制限があり、開発認可などにも時間がかかるため、投資効率は悪くなる。一方で、供給量が限定されるため、希少価値が増し、プレミアム価格での売買により、キャピタルゲインを狙うことも可能な市場だ。

また、京都市では、いわゆる「別荘(セカンドハウス)税」導入の検討が進んでいる。京都は国内外富裕層による別荘やセカンドハウスが多い一方、これらの所有者の住民票は別にある。住民税などが徴収できず、上下水道といった公共サービスなどの受益に見合った負担をしていない、いわゆるフリーライダーになっていることが問題とされてきた。

京都市の「セカンドハウス所有者等への適正な負担の在り方について」(答申)(案)によると、想定される事例では、田の字地区の高層分譲マンションの最上階を別荘目的で所有(築5年、床面積約100m2)の場合や、嵯峨・嵐山に戸建ての別荘を所有(築50年、床面積約300m2)の場合では、それぞれ最大43万円の課税となるという。

もっとも、景観規制や別荘税が課せられたとしても、国内外の富裕層への効果はどうだろうか。不動産の希少性が増せば、ますます「京都の不動産を手に入れたい」というニーズをかき立てることにならないだろうか。①「京都のブランド力」、②「世界的なカネ余り」、③「外資系最高級ホテル」の存在によって、コロナ後を見据えた国内外の富裕層などによる京都の不動産投資は続くことになろう。

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