「このような形で世界に知られるのは恥ずかしい」
こうした状況に、能登町民の心境は複雑だ。60代の女性は「能登は日本の原風景のような里山里海の自然が残る自然豊かな観光地。このような形で世界に知られるのは恥ずかしい」と憤る。40代の男性も「結果的に人が多く集まったとしても、今後は税金の使い方はしっかりと議論した上で決めないといけない」と注文した。
コロナ禍という未曽有の事態に対応するため各地に配分された臨時交付金は、地方自治体の予算の活用法の是非という本質的な課題を浮き彫りにした。
感染症拡大が全国で続く中、コロナとの関係性が不透明な巨大イカ像を設置する予算案を計上した能登町の判断は問題として厳しく追及されるべきだ。
自治体の予算執行をチェックするのが地方議会の役目
そして目立ったのは、町議らの「ここまでの騒ぎになるとは」との反応だ。議会に根強く巣くう適切な予算執行に向けた緊張感の欠如を表していると感じた。
特に「国の財源ならばもらえるものならもらって使ってしまおうとの意識がある」との町議の発言は看過できない。こうした意識で、必要のない事業にこれまでも途方もないほどの巨額の税金が投入されてきたと類推できるからだ。適切な使途によっては感染症の犠牲者を直接救ったり被害を減少させたりすることにもつなげられると思われる今回の臨時交付金の性質を考えると、問題はいっそう深刻だ。
今回のケースを機に、地方議会にはさらに厳しい目が向けられる。自治体による適正な予算執行へ成熟した議論を通じたチェック機能を果たすことができるのか、世界中が注目している。