「スコットランドで独立運動が再燃」 総選挙で支持派が過半数に
5月6日、英国を構成するスコットランドで議会選(定数129)が実施され、スタージョン行政府首相が率いる与党スコットランド民族党(SNP)が獲得した議席は64にとどまり、単独過半数に1議席届かなかった。しかし環境政党である緑の党の8議席と合わせて、英国からの独立を支持する勢力が議会の過半数を得ることになった。
スタージョン行政府首相は選挙結果を受けて、喫緊の課題は新型コロナウイルス対応にあるとしながらも、スコットランド独立の是非を問う2回目の住民投票を実施する用意があることを表明した。他方で英国のジョンソン首相は住民投票の実施を認めないという姿勢を改めて示し、スタージョン行政府首相に対して牽制した。
英国がいくらそれを阻もうと、スコットランドが民意を確認したうえで独立を宣言すること自体は可能だ。しかしながら、スコットランドを第三国が独立国家として容認するかどうかはまた別問題となる。例えば2008年にセルビアの反対を押し切って独立したコソボの場合、日本をはじめとする第三国が承認したからこそ、独立国家になり得た。
2016年6月の国民投票で離脱派が僅差で勝利したことを受けて、英国は2020年1月にEUから離脱した。そのEU離脱を主導したジョンソン首相が、今度は同様に住民投票での意思を確認したうえで英国から離脱しようとするスコットランドの指導者を批判する。なんとも皮肉めいた状況に陥っているのが、今の英国の実情である。
独自通貨を導入する必要性
現実的には、スコットランドが独立するうえでの障壁はさまざまある。そのうち経済の観点からは、とりわけ独自通貨の導入が大きな論点となる。現在スコットランドで使われている通貨は英国のポンドであり、スコットランド銀行、RBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)、クライズデール銀行という三大民間銀行によって発行されている。