99.9%の追求より0→1の構想力を

2021年4月から、文部科学省肝いりの「GIGAスクール構想」が始まった。小中学校の児童生徒に、1人1台のパソコン端末を配布して、教育現場で活用することが特に注目を集めている。

起業当初のアマゾン創業者のジェフ・ベゾス。
起業当初のアマゾン創業者のジェフ・ベゾス。(AFLO=写真)

事実、世界ではDXの時代が始まっているというのに、日本の教育現場でのコンピュータ活用度は先進国として恥ずかしいほど低水準だ。OECD(経済協力開発機構)が2019年に発表した「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」によれば、「1週間のうち、教室の授業でデジタル機器を使用する時間」は加盟国中最下位だ。

10年以上遅れた取り組みではあるが、児童生徒にパソコンを1人1台ということ自体は必要な政策だ。しかし、「GIGAスクール構想」で21世紀を生きる力を育むことができるかといえば、不可能だと断言できる。なぜならば日本の教育問題の本質は、パソコンがあるかないかというツールの話ではないからだ。学習指導要領を代表するように、20世紀型人材を育成するという教育システムそのものを抜本的に改革しない限り、21世紀を生き抜く力は学校で身につけることはできないのだ。