「根拠なく『従軍』を冠した戦後の造語がまかり通っていた」
4月30日付の産経新聞と5月1日付の読売新聞が今回の答弁書の閣議決定を社説に取り上げている。
産経社説の見出しは「『従軍慰安婦』不可 教科書の記述是正を急げ」で、冒頭部分から「根拠なく『従軍』を冠した戦後の造語がまかり通っていたことが問題である。教科書にも使われており、早急な是正を求めたい」「閣議決定の意味を重く受け止めるべきだ」と主張する。
「戦後の造語」でそれが教育の現場で使われていること自体、問題なのである。
産経社説は朝日新聞の誤報と訂正にも容赦なく言及する。
「答弁書では、朝日新聞が、慰安婦狩りをしたなどとする吉田清治氏の虚偽の証言に基づく報道を取り消した経緯に触れ、『従軍慰安婦』は『誤解を招くおそれがある』とした」
吉田氏(故人)の嘘の証言を掲載したことによって慰安婦問題がこじれ、日本と韓国の関係を悪化させた。朝日新聞にはその責任がある。
「強制連行された『性奴隷』などという嘘が世界に広まった」
産経社説は河野談話をこう取り上げる。
「(答弁書は)河野談話での使用について『当時は広く社会一般に用いられている状況にあった』と言い訳しているが、事実を無視した用語にすぎない。これを放置してきたことで、強制連行された『性奴隷』などという嘘が世界に広まった」
同感だ。「言い訳」であり、従軍慰安婦という表記は「事実を無視した用語」である。嘘を世界中に広めた河野談話の責任は重い。
産経社説は「政府は、河野談話を継承するとしている。だが、同談話は、慰安婦の強制連行などを裏付ける証拠のないまま、韓国側に配慮した作文であることが分かっている。談話によって日本の名誉が著しく傷つけられてきた。教科書などへの影響もいまだに続く」と指摘し、最後に「やはり、この談話は撤回が必要である」と主張する。
河野談話が教科書に与えた影響も甚大だ。産経社説はこう指摘している。
「『従軍慰安婦』は河野談話を契機に、9年(1997)度から使用の中学教科書に一斉に登場した。偏向した歴史教科書への批判を受けて一時は消えたが、今春から使用されている中学教科書で復活した。先に検定結果が公表された高校教科書でも使われているが、不適切な表現が検定をパスしていたことにあきれる。当然、修正が必要だ」
沙鴎一歩も教科書の修正を求めたい。早期の訂正が必要だ。間違いを日本の将来を背負う若者たちに教えてはならないからである。