つりにたとえると、私たちが獲物なら、チラシや広告はまきのようなものです。つり糸がたれているところまでおびき寄せるためにあるのです。

そのため、チラシには「全品3割引」「5時からタイムセールで半額」といった、私たちの胸が躍るような文言が巧みに並べられています。

店側からすればお店に来てもらえれば、しめしめという感じなのです。それは、スーパーなどの店内には、私たちがつい買いたくなるような仕掛けが張り巡らされているからです。

「余計なものを買ってしまう」スーパーの仕掛け

そもそも、店内での行動経路を思い浮かべると、私たちはまさに回遊魚のような動きをしていることがわかります。スーパーのほとんどが、お客の流れが左回りになるように設計されています。

心臓が左側にある人間にとって、左回りのほうが心地よく感じるためといわれているのです。また、ほとんどのスーパーでは、メインの入り口付近に果物売り場があります。

そうなんです、スーパーの店頭に鮮やかな明るい色を配置することで、買う側の気持ちを高揚させるのです。そのほうが、購買意欲が高まり、財布のひもがゆるむからなんです。

確かに、外観や店内が暗いスーパーを見たことがないでしょう。また、ハンバーガーショップや牛丼店の看板は、みな色鮮やかです。暗いよりも明るいほうが気分は乗ってきます。

店頭には果物のほか、お買い得品がこれでもかと積まれていることがありますが、それは、その商品をカゴに放り込むことで浪費スイッチが入るようになっているのです。

店側のいろいろな仕掛けにはめられているのが、私たちなのです。

スーパーの店頭に山積みになっている野菜
写真=iStock.com/BestForLater91
※写真はイメージです

スーパーは店の裏側から入るといい

そこで、提案です。スーパーには裏側から入ってみましょう。

スーパーには出入り口が表側と裏側の2カ所ある場合が多いので、気分を高揚させる表側の入り口は避けるのです。また、たくさんものが積めるカートではなく、カゴを両手に抱えて重みを感じながら店内を回りましょう。

たったそれだけのことで、これらのマジックに引っかからずに、買いたいものだけ買うことができるはずです。さらに、あらかじめ必要なものをメモしてから、買い物に臨みましょう。

また、『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください。』(アスコム)で紹介している冷蔵庫の中の写真を撮って、それを見ながら必要なものだけ買うといったことも有効です。