そもそも異性にまったく関心がない自閉症児も多い

もっとも、自閉症の子はそれが男の子でも、女の子でも(自閉症は圧倒的に男の子に発現する障害である。そもそも、人の話を聞かなかったり、自分の好きなことだけに熱中したり、相手の気持ちをおもんぱかれなかったりと、なんだか男性にとって耳の痛い症状が特徴的な障害である。男の子に親和性が高いのもうなずける)、興味の対象が限局されているので、異性にまったく関心がない子も多い。

関心がなければもてなくてもまったく苦にならないだろうから、それが不幸せかどうかはわからない。むしろ、もてないことで、人と関わりを持つ機会が減って喜ぶ子すらいるだろう。

ぼく自身、異性としての二次元女子は好きだが、リアル女子には関心がない。オタクと発達障害の親和性については、いつか必ず書こうと思っているが、それは別の機会に譲るとして、芯から二次元女子が好きなオタク(男性の。女性のことはよくわからない)は多いと思う。

よく、「リアル女子に相手にされないから、代用品として二次元女子に流れてるんでしょ?」と言われるが、そうではなくて単純に二次元女子リアル女子なのである。

自閉症の子は空間認識能力が低いことがあるので、リアル女子のような複雑な形状は手に余るのかもしれない(この仮説はいつか検証してみようと思う)。二次元女子の美しさは理解可能なのだが。

漫画を読んでいる子ども
写真=iStock.com/Alberto Gagliardi
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定型発達児よりも楽しみが少ない自閉症児

発達障害を発現する子が増加傾向にある今、このトレンドは続くかもしれない。

ぼく自身は前から「恋愛市場において、リアル女子はそのうち本気で二次元女子と戦わなければならなくなる」だの、政治家に会う仕事があると「人口は今後ずっと減っていくでしょうが、二次元女子との婚姻をオタクに認めてそのぶん住民税を徴収すれば納税人口は増やせますよ」だの言ってきたので、トレンドの構築に加担している側である。

それは極端にしても、LGBTQ+と同列くらいのイメージで二次元キャラクタを愛情の対象とする人の認知が進むかもしれない(まだこの系列の中には入れてもらえていない気がする)。

とはいうものの、ふつうに体温を持った人間を好きになる自閉症児もたくさんいるし、傾向として二次元キャラクタや動物やモノを愛する子でも(そういえば、世界にはペットと結婚した人や、壁と結婚した人もいた。あれは自閉症ではなさそうだけれども)、何かの弾みで異性(別に同性でもいいのか)を好きになるかもしれない。

そもそも自閉症児は定型発達の子よりも楽しみが少なかったりするので(重い子だと食事だけが楽しみという子もいる。だから重度の子を持つご家庭は、せめて食事だけでも摂れるように偏食回避の訓練などに注力する。自閉症はこだわりや知覚過敏が強いから、極端な偏食になる子も多いのである)、その恋愛の記憶が、たとえ成就じょうじゅしなくても、良い想い出になるといいなあと思うのである。