YouTuberより圧倒的に優位

収入面だけではありません。小説家の方が動画配信者より、圧倒的に優位なことがあります。それは広く世間に認められた職業であるという点です。

ベストセラー作家になれば社会的地位が保証され、出版社にも守られます。同じノマドワーカーでも、顔の見えない運営者によるネットの配信サービスに依存するのとは、大きく状況が異なります。

このように書くと「儲けばかりを考えるのか」「作家はストイックであるべきだ」との異論が上がるでしょう。もちろん小説家は、自作の執筆においてストイックでなければなりません。本業を他に持ち、小説で稼ぐことなど考えず、趣味がてら好きなものを執筆していくのも、賞賛に値する生き方のひとつです。

でもそれなら、まず商業的に稼げる小説を書いて専業作家となり、一方で自分の好きな小説も書いてみてはどうでしょうか。作家として出版社からの信用を獲得すれば、あらゆるジャンルの小説を刊行できるようになります。「軽薄な商業作家として名を売ったのでは、本気で書いた小説の発表に支障がある」というのなら、別のペンネームで刊行すればいいのです。

「年収億超えの作家が普通にいる」

多額の収入は自分の幸せのためばかりではありません。まず家族のためになります。次いで高額の納税による社会貢献につながります。

黒い背景にお金の札束
写真=iStock.com/Hanasaki
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「本当は小説家は儲かる」という事実について、実際に儲かっている当事者らは沈黙を守りがちです。けれども「小説家は儲からない」という風説ばかりが広まると、せっかくの才能ある人々が小説家になるのを断念してしまいます。それは文学全般をつまらなくし、出版不況に拍車をかけてしまいます。

拙書『小説家になって億を稼ごう』(新潮新書)に、筆者の確定申告書を掲載させて頂きました。お恥ずかしい話ではありましたが、年収億超えの作家が普通にいるとお伝えするにあたっては、判りやすく有意義な方法だったのではないかととらえております。「あんな程度の作家で億を超えられるのか、なら自分も」と思って頂けましたら幸いです。

今の世の中、どなたでも作家業に挑戦して頂けます。人それぞれに個性があり、みな特別な存在です。貴方が紡ぎだした物語は、貴方の性格や経験、知識、嗜好などが結合した、けっして他人には想像しえないものになります。面白くないはずがありません。

実は選択肢が色々……小説を出版する方法

小説を書き上げても「出版の当てがない」と思われるかもしれません。新人賞公募は高嶺の花ですし、比類なきエリートコースですが、もし傑作と自負できる小説が書けた場合、是非応募すべきでしょう。

他にも「小説家になろう」「カクヨム」など、小説投稿サイトで上位にランクされる方法もあります。とはいえ、いずれも狭き門であることは変わりません。