渋沢さんのすごいところは、多少不愉快なこと、思い通りにいかないことがあっても、耐えること、我慢することを知っていたということです。だから、渋沢さんは適材適所ができたとも言えます。

ジョン万次郎さんもそうでした。明治時代を先取りした彼は、時至るまで、その場でできることを120%努力しました。

アメリカでは航海士になるために、寝る間も惜しんで勉強しました。望郷の念を押し殺し、目先の現実と向き合いました。その姿勢があったので、アメリカにおいても彼は人から信頼されたと思います。

「反省はするが、後悔はしない」

実は、ビビる大木の座右の銘はいくつかありますが、その一つに「反省はするけれど、後悔はしない」というのがあります。

ビビる大木・著『ビビる大木、渋沢栄一を語る 僕が学んだ「45の教え」』(プレジデント社)
ビビる大木・著『ビビる大木、渋沢栄一を語る 僕が学んだ「45の教え」』(プレジデント社)

僕もまた当然ですが、失敗をしたり、悪いことをしたら反省というよりも猛省するタイプです。ただし、後悔ばかりしていると、その出来事を引きずったまま前に進むことができなくなりますので、後悔の念に蓋をして我慢して、抱え込んで前に進んでいきます。

僕は昭和49年生まれですが、その前後に生まれた方たちは、学生時代にバブルが崩壊し、社会に出る頃には景気がだんだん、だんだん下降気味になっていた時期でした。

給料は上がらずに、キャリアだけ重ねてきたわけで、あとから入って来た社員たちのほうが、給料がよかったりしませんか。そんな経験を、みなさんもされているはずです。

つまり、恵まれていない社会環境の中で、僕たちは社会人になりました。僕はたまたま自由業を選択しましたが、会社に勤めていらっしゃる方は本当に大変だろうと思います。

その意味で、僕たちの世代は、同世代の方とお会いすると、「今踏ん張って行こうじゃないか。僕たちの世代、いい思いをしたことはないけれど、僕たちだって、何もしてないわけはない」という気持ちで、耐えながら生きています。

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