そうした取り組みが、これまでにはないICチップの創造や機器の開発を支える。ある意味では、ソニーはかつて“ウォークマン“のヒットによって世界の音楽文化を一変させたような強さ、輝きを取り戻そうとしているように見える。新しい発想の実現に取り組む企業の増加は、わが国の経済と社会の活力向上に欠かせない。

部材の進化がイノベーションを支える

コロナショックの発生によって、米中の大手プラットフォーマーに比肩する企業が見当たらないなど、わが国のIT後進国ぶりは鮮明だ。感染再拡大や変異種の発生によってわが国経済の回復には、数年単位の時間がかかるだろう。

だからと言って、悲観しても仕方がない。突き詰めていえば、半導体は新しい発想の実現を支える。わが国企業には半導体関連の部材や製造装置、およびパワー半導体関連の技術を磨き、それらの要素と新しい発想の結合をより積極的に追及してもらいたい。それが、次世代の環境、自動車、通信分野でのイノベーション発揮を支える。

そのために、政府はスピード感をもって雇用に関する規制の緩和などに取り組み、人々の新しい発想がよりダイナミックにモノづくりに反映される環境を目指すべきだ。

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