ちなみに朝日新聞の1月15日の「首相動静」にはこうある。

「2時57分、新聞・通信各社の論説委員らと懇談。3時28分、在京民放各社の解説委員らと懇談。55分、内閣記者会加盟報道各社のキャップと懇談。(中略)7時40分、報道各社のインタビュー。45分、衆院第2議員会館。8時20分、東京・赤坂の衆院議員宿舎」

官邸で記者たちと懇談しているのである。

「結婚式に招かれた来賓のスピーチのよう」

多くの人と会うことが好きだと菅首相はいうが、相手のいうことを正しく理解し、自分の言葉にして語るということが、この人には苦手のようだ。

週刊新潮(1/21日号)は、2度目の緊急事態宣言を発出した時の結びの言葉、

「1カ月後には必ず事態を改善させる。そのためにも私自身、内閣総理大臣として、感染拡大を防止するために全力を尽くし、ありとあらゆる方策を講じてまいります。これまでの国民の皆さんの御協力に感謝申し上げるとともに、いま一度、御協力賜りますことをお願いして、私からの挨拶とさせていただきます」

これを「結婚式に招かれた来賓のスピーチのよう」だと政治部デスクが評していて笑ったが、いい得て妙である。

自分の言葉を持たず、ペーパーを棒読みするしかできない菅首相にストレスがあるとすれば、首相という職責に耐えられなくなっているからであろう。

石破議員も博多で「ふぐ会食」

ポスト菅の有力候補が石破茂元幹事長である。JNNが1月9日、10日に実施した世論調査で、2位の河野太郎行政改革担当相を引き離してトップだった。

石破議員の総裁選でのスローガンは「正直、公正」。本人は「夜の宴会で仲間を増やすより、政策に磨きをかけるのが大事」だといっている。

菅首相の支持率が急落する中、石破への期待が膨らんでいたところに、週刊文春(1/21日号)が、石破を含めた9人の人間が福岡県・博多の高級フグ屋で会食していたと報じたのである。

刺身
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1月7日に東京都など1都3県に「緊急事態宣言」が出されたのに続いて、13日には大阪、兵庫などを含む11都府県に拡大された。

その中には福岡県も含まれている。7日には県議の感染が発覚し、過去最多の388人の感染が確認されていた。

石破議員が会食した1月8日には、会食好きな二階幹事長までが、党所属の全国国会議員に「新型コロナウイルス感染拡大防止について」という文書を出し、「飲食を伴う会合への参加を控える」と要請しているのに、それを嘲笑うかのごとき振る舞いをしていたのである。