中国の軍備拡張がアジアなどの安全保障を脅かしつつある。平和のために日本はどんな役割を果たせばいいのか。ジャーナリストの松本利秋氏は「日本が主導するFOIP(自由で開かれたインド太平洋構想)がカギになる。日本が新しい世界の軸になることが求められる」という――。

※本稿は、松本利秋『知らないではすまされない 地政学が予測する日本の未来』(SB新書)の一部を再編集したものです。

北京の天安門広場にて毛沢東の大きな肖像画の前で警備する中国の警察官
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FOIPというプラットホーム

【一般的な認識】EUを脱退した英国がTPP加入に意欲を見せ、FOIPをプラットホームとして安全保障と経済安保へと拡大する方向に向かっている。
【地政学の視点】英国の加入により欧州とアジアの距離が縮まり、経済も含めた安全保障の選択肢が増える。日本を軸とした繋がりから新しい世界が始まる予兆がある。

EU脱退後のイギリスがTPP加入に本気度を見せ、FOIP(自由で開かれたインド太平洋構想)をプラットホームにする安全保障と経済安全保障へと拡大・充実させてくる方向に向かっている。

もしイギリスが加われば、ヨーロッパとアジアの距離が縮まり、イギリスと日本の間に存在している南アジア、東南アジア諸国にとっても経済を含めた安全保障政策の選択肢が増えてくる。

問題は具体的な強化策を如何にして構築していくかだろう。

その第1の構成要素としてまず挙げなければならないのが日米同盟だ。これは安倍内閣の下で相当強固なものとなったと言えるだろうが、2020年の大統領選挙で浮き彫りになったアメリカ国内の分裂が今後より深刻化していくことが予想され、懸念材料となる。

次回の大統領選挙から4年ごとに、それまでの政策をちゃぶ台返しのように正反対のものに激変させることになるのを計算に入れつつアメリカの国内状況を見極めて、緻密な対米政策を積み上げていくことが必要だ。

そのためには、アメリカの世論を日本有利に導いていくマスコミ対策やら、政界に対する強力なロビー活動を強化していくことも重要課題となってくるだろう。この点で韓国は正確な金額は不明だが、アメリカ政界へのロビー対策費は世界第一だとされている。