多くの男性が年を取ると「覇気のないオジさん」になっていく

学生はサークルや飲み会など新しいコミュニティに参加することが多く、「自分がどう見られているのか」を考えるよいきっかけになっていたと思います。

地下鉄で居眠りするビジネスマン
写真=iStock.com/portishead1
※写真はイメージです

「印象をよくして女の子にモテたい」
「彼女がほしい」
「マッチングアプリ用にカッコいい写真を撮らなきゃ」

意図的にというよりは本能的にだったと思いますが、明確な目的(モテたい)のために服装や髪型をよくして「武器」をつくっていました。

さらに、就活時は短く切り揃えたヘアは当たり前。真新しいリクルートスーツと、アイロンをかけたパリッとしたシャツに腕を通し、背筋を伸ばして面接に挑んでいたはずです。

ところがどうでしょうか。皆さんの上司で、フレッシュで小ぎれい、「まるで歩く清潔感だ!」と形容されるような人はいますか?

少なくとも、僕が普段乗っている山手線では毎朝「お疲れ顔で覇気のないオジさん」がほとんどです。

ですが、考えてみてください。そんな上司にもみんな、20代前半の「モテたい時期」「就活期」があったのです。今では自分の見ためなんてぜーんぜん興味がなさそうなあの人も、きっと昔は気にしていたんです。

ということは、あなたの未来はどうでしょうか。そう考えるとやっぱり気が抜けません。

でも、あきらめなければ大丈夫です。なぜ年をとると男性は見ためを気にしなくなってしまうのか、紐解といていきましょう。

気づけば「見た目のマンネリ化」が進んでいる

僕は26歳を過ぎたあたりから、「今日、疲れてますか?」と2週間連続で、毎日お客様に言われたことがあります。そう言われるたびに「心配してくれているなんて嬉しい」ではなく、「気を使わせてしまって申し訳ない……」と感じていました。

「モテ・就活」を原動力にしてあれだけ見ために気を使っていた僕でさえ、仕事に没頭する毎日で様子が変わっていたのです。

「最近、全然キラキラしていないな」

スキンケアなんて特に調べることもせず、いつから置いてあるかわからない化粧水を塗ったり塗らなかったり。ヘアスタイルは20代前半に定番化したお決まりヘアをこだわりもなく継続。服の購買欲は以前よりも落ち、全盛期の服を長年着用。

そうです、完全なる「見ためのマンネリ化」が訪れていました。職場には「気になるあの子」がいないので、見られる意識などいつの間にかどこへやら。しかし思考停止した身だしなみは、不潔感を増していくのです。その結果が「今日、疲れてますか?」です。

「この化粧品は自分に合っているか」
「紫外線対策ってしたほうがいいのか」
「この髪型は若づくりになってしまっていないか」
「この服はこれまで何回洗ってクタクタになっているのだろう」

何も考えずアラサーを過ごしていると、そんなことなど考えなくなってきます。

「いいえ、季節や環境でスキンケアは変えるべきです」
「日焼け止めを塗らないと、将来シミが増えます」
「その束感ヘアはとっても若づくりで逆効果です」
「その服、正直なところお下がりレベルで、クタクタになっていて不潔です」

そんなことを親切に教えてくれる人はいません。

みんな大人なので気を使って心の中にしまっています。それを長年続けると、自分を俯瞰すれば感じるはずのことが次第にわからなくなってくるのです。

気づいたときには「数年間のブランクがあるから、身だしなみって言われても何から手をつければいいかわからない……」という状況になり、それでいて相談することもできなくなっています。

しかし後々僕が気づいたことは、20代前半の見ための捉え方と、アラサーからの捉え方はまったく別物ということでした。

「モテたい」が原動力のファッションをする必要はもうありません。まったく違う動機だから、そもそもブランクなんてないのです。