図1:抜け毛・薄毛を認識している割合(年代別)

図1:抜け毛・薄毛を認識している割合(年代別)

ところで日本では鈴木先生や私のように薄毛を認識している男性は1260万人、薄毛を気にしている男性は約800万人、育毛剤など薄毛への対処をしたことがある男性は650万人ともいわれる。そして現在、薄毛に対して何らかの対処をしている男性は実に500万人いると推定され、男たちは薄毛や禿げにそれこそ頭を悩ませているのだ。

そんな中、医学的に効果が証明され、「飲む脱毛治療薬」として発売されてすでに3年半、専門医も実体験をもとに自信をもって勧めるのがフィナステリドである。日本では2005年10月に承認され、2カ月後の12月に万有製薬から発売された。プロペシア自体は、1983年に米国のメルク社が合成に成功。98年、米国で発売され、現在はすでに世界60カ国以上で承認され、愛用されている。従来の育毛剤は直接頭皮につける外用薬だったが、もっとも大きく違うのは医師によって処方される医療用の服用医薬品という点だ。

フィナステリドは脱毛症でも、とくにAGAの治療に効果を発揮することがわかっているが、多くの男性が悩むAGAは、これまで加齢に伴うやむをえない老化現象と見なされ、病院で治療を受けてもさほど改善できる症状とは考えられていなかった。

「睾丸を持ってる限り、男性の髪は必ず薄くなる」と臨床的に証明したのは、男性ホルモンとAGAの関係を発見した毛髪の権威と言われるアメリカの皮膚科医ハミルトン博士だが、これは、幼くして睾丸を摘出して去勢した中国の宦官に禿げがいないことでも知られている。ということは男である限り男性型脱毛症は避けられない症状ということになる。

(吉田茂人=撮影)