介護の負担を減らすため「スマートホーム化」を進める

翌年1月、“離れ”が完成。

介護の負担を減らすために、「Google Home Mini」と「Live Smart」の「LS Mini」を導入し、「スマートホーム化」を進める。車イスでの出入りを前提にした玄関。急搬送経路の確保。ストレッチャー、棺桶の搬入・搬出が可能な窓。トイレ、洗面台、お風呂、台所も全面バリアフリー。トイレは後にタンクレス化し、身体を支えるひじ掛けと背もたれを設置。手すりは当初は設置せず、進行に併せて脱着できるようにした。

リビングルームにスマートスピーカー
写真=iStock.com/simpson33
※写真はイメージです

さらに瀬戸さんは、「Google Home Mini」は、ネットだけでなく、服薬時間を知らせるアラームや、起床時にその日の予定を読み上げてもらうなど、スケジュール管理に活用した。

「LS Mini」は、使用しているリモコンを記憶させ、ネットにつなげば、スマートフォンやタブレットで操作ができ、エアコンや扇風機の起動条件を、自分たちの生活リズムや好みの温度に設定することも可能。両機器を連動させれば、音声操作ができるため、いちいちリモコンを探す手間が省ける。

外出時の切り忘れ防止には、「OK、Google。いってきます」と言うとOFF、「OK、Google。ただいま」と言うとONになるよう設定。手が離せない場合や、ケア用手袋をしている最中でも声で操作ができるので、大幅にストレスが軽減できた。

32歳で自力歩行ができなくなり、34歳で飲み込みが困難に

2012年。32歳になった妻は自力歩行ができなくなり、車イスを購入。それでも瀬戸さんは、妻の体調がいいときには買物や近所の散歩、観光地などへドライブに連れ出した。

そして2014年。飲み込みが困難になったことによる体重減少から、胃ろうを造設することに。

2016年、瀬戸さんは訪問介護を検討するが、相談員から「介護保険を使わないと利用できない」と案内があり、40歳未満の妻(36歳)は利用できないことがわかった。介護ベッドや痰吸引器など、レンタル割引も適用されないため、介護用品は助成制度を活用しながら購入。

2019年、介護支援で訪問介護が利用できることが判り、10月から利用を開始するが、ハンチントン病は症例が少なく、介護・福祉経験が豊富な人でも、実際に対応したことがない人がほとんどだ。

ハンチントン病の不随意運動は、病状が進むにつれて激しくなり、薬を服用しても完全には止めることができないため、24時間拘束しておかないと本人がケガをしてしまう。瀬戸さんは、初めての病院や、新しい訪問介護士には理由を説明し、しっかりとした拘束をお願いしたが、それでも「痛そう」「きつそう」と気を遣われて、拘束を緩められた結果、不随意運動で顔を叩き続けるなどして、妻がケガをしてしまうことが少なくなかった。