紫外線を避ける習慣がビタミンD不足を招いた

図表2は韓国の20代の男女(男性311名、女性438名)の血中ビタミンD濃度の分布を表しています。ビタミンD濃度を表す25(OH)D3濃度が20ng/ml未満であると欠乏状態にあると言えますが、この研究により、男性の65.0%、女性の79.9%がビタミンD欠乏であることが明らかにされています。

ビタミンDはコレステロールを原料とし、紫外線を浴びることによって、皮膚で作られます。ということは、日光を浴びなければビタミンDを作ることはできません。

もともと人類は野生動物と同じように屋外で活動していましたが、現代文明のもとでは室内空間で過ごす時間が多くなり、皮膚でビタミンDを作る機会が減ってしまいました。さらに追い討ちをかけるかのように、「紫外線を浴びると皮膚がんになる」など紫外線の弊害に関する情報が蔓延し、1980年頃から現代人の多くが紫外線を避けるようになってしまいました。

これらが現代人にビタミンDが不足している大きな理由です。

美容意識の高い若年女性がいま危ない

このままビタミンD不足を放置していてもよいものでしょうか。韓国の若者の例は決して対岸の火事ではなく、日本でも同じ現象が起きていると考えられます。

ビタミンD欠乏は若者の健康状態を損ねるだけでなく、彼らの子どもたちの健康リスクも増やすことになります。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2018年)によれば、20歳以上の成人女性で平均6.5μg、20~40代女性に限定すれば平均4.8~5.6μgしか食事からビタミンDを摂取できていません。当院で血中ビタミンD濃度を調べた結果でも、年代別に比較してみると、女性に関しては20~40代がもっとも低かったのです(図表3)。

美容を意識して徹底的に紫外線をカットし、ビタミンDの供給源となる魚もあまり食べないという生活を見れば、決して不思議な結果ではありません。