実績を偽って商品を売っていた

【三崎優太氏】竹花氏の経歴詐称疑惑が持ち上がったのは今から3週間ほど前のことですが、以前から私は彼の業績について疑念を持っていました。

YouTubeチャンネルでは「世界数カ国で事業を展開」と謳っていましたが、彼の事業内容を見ても現実的ではないと思っていたのです。

そこで、彼の経歴について一度詳しく調べてみようと思った時に、今回の騒動が発生しました。

現在、竹花氏は経歴についてもっとも批判が浴びせられていますが、それよりも元Googleと言って商品を売っていたことが最大の問題と言えるでしょう。

さも、よい商材である根拠を「Googleにいた」という経歴で担保していたからです。

むろん、今回の経歴詐称は刑事罰に値するものではないのかもしれませんが、海外拠点も実態が怪しいものばかりで、いわば実績を偽って商品を売っていたという意味では限りなく詐欺に近いと言えるでしょう。

三崎優太氏
写真提供=扶桑社

完全犯罪の一歩手前だった竹花貴騎氏

ただ、今回の竹花氏の経歴詐称について一つ勉強になったことがあります。

それは、いまのネット社会において、経歴を偽って作り込めば、数万人の人は騙せて、ビジネススクールを立ち上げるまでの教祖になれるということです。彼は虚像でここまで利益をあげることができてしまったのです。

おそらく、彼はその虚像をこれから実像に変えようとしていたのではないでしょうか。

実態のないビジネスをMUPの売り上げで新規事業として始め、さらにその利益で本当に海外にオフィスや別荘を構え、寄付をする。

その道半ばで今回の経歴詐称が発覚してしまった。

その意味で、彼は虚像を実像に変えるという完全犯罪の一歩手前だったと私は考えます。あと1年この嘘がバレなければ、竹花氏は東村山市以外にも寄付先を増やし、収益を増やして本物の経営者になっていたかもしれません。

しかしそのプロジェクトはネット上の一人のビジネスインフルエンサーの目に止まり、頓挫してしまったのです。

結果として、彼がオーナーを務めるLimの海外支社のオフィス写真は合成で、寄付先の施設の看板は一時的に掛けられていたものだったことがわかりましたが、それでも人を騙せたというのが竹花氏が残した唯一の実績といってよいでしょう。