オリンピックより実は大きい経済効果

先日、日本総研は東京オリパラの経済効果を発表した。約6000億円である。これは開催期間中の経済効果、つまりイベント開催の消費効果を中心にしているので建設関係の効果は入っていない。1カ月間で6000億円というのは年率換算すると約7兆円になるので瞬間風速的にはかなり大きな経済効果をもたらすと考えられている。やはりオリンピックはすごい。ただし、大会の規模縮小も議論されており、これよりも経済効果が小さくなるリスクに注意が必要である。

一方で、万博開催期間中の経済効果は半年間で1.5兆円である。瞬間風速的には負けるがイベント単位の金額では東京オリパラよりも経済効果が大きい。東京都のGDPは約100兆円、大阪のGDPが約40兆円、関西が約80兆円だ。こう考えると、万博で大騒ぎする大阪・関西人の気持ちがよくわかるのではないか。

最近の海外の万博による経済効果をみてみよう。まず2000年のドイツ・ハノーヴァー万博。1200億円の赤字となったが、1.4兆円の経済効果があったとのことだ。2010年の上海万博では145億円の黒字で経済効果は2.9兆〜19.4兆円あった。やや範囲が大きすぎる気もするが、金額が大きいことは間違いなさそうだ。直近は2015年のミラノ万博であるが、30億円の黒字で経済効果が4.2兆円だ。

東京オリパラで大きなビジネスが取れなくてもチャンスはある

実はミラノ万博は食をテーマにしたイベントであった。万博にしてはテーマを絞りすぎている感じもするが、食べ物だけで4.2兆円の経済効果を出したのは大したものといえる。

海外の事例をみると、2025年万博の1.5兆円(建設関連を除くベース)というのはなんとおしとやかな目標だろうか。万博は半年間毎日開催されるからこそ、経済効果は大きくなるのである。東京の人に興味を持っていただきたいのは、瞬間風速はさておき、開催期間中の全体の経済効果としては万博の方が大きいということだ。東京オリパラで大きなビジネスが取れなかった方も、大阪では大きなチャンスをモノにしてほしい。