空腹を認識したら10分だけ集中する
宗教的に見ても、飢餓や断食によって脳内の反応が変わる可能性がある。それがパフォーマンスなどに影響を及ぼすこともあるだろう。もちろん、宗教的な意味合いはともかく、報酬的な機能も果たしつつも、あなたの意思とは関係なく脳が何かを欲したり、求めたりする状態は、ドーパミンを誘導することで注意力や記憶定着効率を高める効果や、新たなものをクリエイトする能力の増大効果も期待できる。
とはいえ、長期にわたって断食するのは辛い。モチベーションを高めるためにいきなり断食するのは現実的ではない。空腹状態に気づき、注意のシフトをするのに慣れないうちは、単に強いボトムアップモチベーションが優先され、注意力が分散してしまい、パフォーマンスを下げる。
そこでたとえば、まずはお昼休み直前にお腹が空いた状態を認識したら、これはチャンスと考え、残り10分間だけでも集中してみるなどはいかがだろうか。空腹を感じたときのドーパミンを少しずつ活用することから始めるのがお勧めだ。きっとその10分は、高い集中力を発揮するはずだ。
アニメの決め台詞で「やる気スイッチ」を発動させる
トップダウンのモチベーションを誘導しやすくするもう一つの方法が「モチベーショントリガー」をつくることである。いわゆる「やる気スイッチ」だ。
このやる気スイッチは誰かに押してもらうものではない。自分で押すためのスイッチを、自分でつくるのがポイントである。モチベーショントリガーとは、自分のモチベーションを意識的に高めるための「おまじない」とも考えられる。自分ならではのおまじないをつくるうえでのポイントを、いくつかご紹介しよう。
あなたには、自分のお気に入りの名言や、本や漫画の一節、ドラマやアニメのゾクゾクするようなシーンがあると思う。あるいはお気に入りの音楽でもいい。実際に見聞きしたり、脳内でそのお気に入りの言葉をつぶやいたり、映像を頭に思い描いたりすることで、あなたのモチベーションは高まっていくだろう。そのようなお気に入りがない人は、それを探すことが重要だ。
「いやいや、アニメや漫画のシーンで高まるなんてアホらしい」
そうおっしゃる方がごく稀にいる。たしかに、アニメや漫画などに興味がない人にとっては、まったく効果はないだろう。
だが、本気で心を動かされ、それらのシーンに強い想いを持っている方なら、間違いなくモチベーションが高まる効果がある。なぜなら、本人にとってやる気が引き出されているのなら、誰がなんと言おうと、それがどこからの刺激であろうと、本人のドーパミンなどを誘導し転用できる可能性があるからだ。世の中には、心を大きく動かされモチベーションを誘発する「あんなふうになりたい」と思わせる名作、名場面が数多くある。
もちろん、アニメや漫画は誘惑が強いため、注意が分散されては効果がない。お気に入りを実際に見聞きしたり、頭で想起した後に、その効果を注意のシフトで活用するのが肝心だ。実際にアスリートなどが、お気に入りのアニメや漫画で自己を高めているという話も聞いたことがある。何も、アニメや漫画でなくてもいい。自分が優れたパフォーマンスしたときの映像を見返して高めることもあれば、憧れのパフォーマーの最高のシーンを見て学ぶとともに、モチベーションを高めているケースもあるだろう。