カネをかけずに昔ながらの知恵で電力コストの削減は可能
50代の読者が住む家は、新築ではないが、建て替えるのもまだ早い時期だろう。断熱サッシなどによる省エネ化で節約でもしようかと考えたくなるかもしれないが、それほど甘くない。
新築のときは割高になっても思い切った省エネ化に取り組むことが可能だが、リフォームによる省エネは、はっきり言って難しい。むろん、地球環境のために割高になっても貢献したいということであれば話は別だ。しかし、電力コストの削減を目的にした省エネリフォームは、費用対効果の面で現時点ではお勧めできない。
例えば、断熱サッシに替えて年間冷暖房費がいくら下がるのか。断熱サッシはすべての窓などの開口部を替えなければ意味がない。家の中に開口部が30カ所あるとして、足場代や工賃なども含めると、軽く200万円を超える。仮に年間20万円かかる冷暖房費が2割削減できたとしても年間4万円の節約。壁や屋根などの気密性・断熱性が低ければ、効果はもっと薄れる。これでは30年後でも元が取れず、ようやく損益分岐点に達した頃には、家は建て替え時期を迎える。
もちろん、国や自治体の補助金・助成金もあるが、省エネでコスト削減に結びつけるのが前提なら、現行の補助金水準は焼け石に水だ。これは太陽光発電でも同じことがいえる。
断熱サッシや太陽光発電の導入は地球環境保護には大きな意味がある。しかし、少なくとも現在のコストや補助金レベルでは、地球にプラスでも家計にはプラスになりにくいのが実情だ。
では省エネリフォームで得することはできないのか。実は、昔ながらの省エネの知恵で、電気料金を下げることは可能なのだ。例えば、カーテン。窓には天井から床まで窓の上下左右を十分に覆う大きさの厚手のカーテンを吊り、カーテンレールは天井ギリギリに設置する。開口部の大きさと大して変わらないカーテンでは、断熱効果はあまり期待できない。
そもそも窓とドアがなければ、断熱材を入れるだけで冷暖房効率は非常に高まるが、1カ所でも窓がつくと冷暖房効率はガクンと落ちる。だからこそ、開口部を覆ったり、逆に日光を入れたりする工夫が重要なのだ。