優良住宅をつくることで、ローン負担を軽減し豊かな暮らしを実現

成立が待たれる長期優良住宅制度の気になる中身とは?

成立が待たれる長期優良住宅制度の気になる中身とは?

長らく日本の住宅はスクラップ・アンド・ビルドを繰り返してきた。それを大きく変換させようというのが福田前首相が提唱、現在国会で継続審議となっている「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案」(仮称)だ。

ことの発端は福田前首相が2007年5月に自民党政務調査会の住宅土地調査会長としてまとめた「200年住宅ビジョン」。耐久性や耐震性に優れ、何世代にもわたって住み続けられる200年住宅を普及、促進させようというものである。所信表明演説でも重要政策のひとつとして取り上げられ、おおいに脚光を浴びることになったのだ。

この200年住宅推進には大きく2つの意味がある。ひとつは環境対策。現在日本の住宅の平均寿命は33年ほど。これをアメリカの55年、イギリスの77年以上に延ばすことができれば、建築時や解体時に出るCO2を大幅に削減できる。木材の消費、ゴミの排出を減らすことにもつながる。洞爺湖サミットで合意した2050年までのCO2 50%削減にも大きく貢献するわけだ。

もうひとつは、社会資本として世代を超えて住み続けられる優良な住宅をつくることで、次世代の住宅ローン負担を軽減し、豊かな暮らしを実現すること。ローンを抱えなければ住宅が持てない社会を変えようというのだ。

しかし、世代を超えて住み続けられる住宅をつくるためには、住宅の品質が重要になる。これまで以上の耐久性、耐震性、遮音性、気密性などを兼ね備えた住宅でなければならないわけで、住むとすれば快適だが、建てる場合には高くつく。実際、国土交通省などが考えている200年住宅の基準をクリアするためには、現状の2割増しのコストがかかるとの試算もあるほどだ。

そこで法案では200年住宅を定義づけると同時に、供給を促進するための税制や助成その他も盛り込まれた。例えば登録免許税の軽減期間を延長する、不動産取得税や固定資産税を軽減する、住宅ローンの最長返済期間を35年から50年にするなど。一戸当たり40万円ほどを補助する計画もある。