自分に“いいこと”があったら、感謝を込めて寄付をする

「ゆとり1%」の寄付から始めてみる

私が感謝の気持ちを込めて初めて“寄付”をしたのは、ココイチ創業の翌年のことだ。銀行で100万円を借り、経費の支払いに当てた残りの20万円を地元の社会福祉協議会に寄付をした。その時、わずかなりとも人のお役に立てたことを喜び、“助け合い”の精神が芽生えた。

また、引退後、私は「ゆとり1%」活動なるものを提唱している。これは自分がゆとりを感じるような“いいこと”があれば、感謝を表す意味で、それにかけたお金の1%を貯金箱に貯め、少しまとまったら寄付するというもの。例えば、コンサートに行って楽しんできたという時に、その代金が5000円だったとすると1%の50円を寄付するわけである。

寄付のため瓶にお金を入れる
写真=iStock.com/pinkomelet
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同じように、「ラッキー20の法則」という活動も行っている。こちらは棚ぼたでラッキーなことがあった時に、その20%を寄付してもらうというもの。例えば5000円の食事に招待してもらったら、その20%の1000円をチャリティしてもらう。

今の職場である宗次ホールの事務所とかロビーにはチャリティボックスが50くらい置いてある。それぞれ「介助犬協会」「福祉施設」というように寄付先が明記してあり、お客様やスタッフが好きなところへ寄付をする。助け合いの気持ちを実践することを社員にも奨励して、社会貢献活動への意識を高めているのである。もちろん、各方面から大いに感謝されている。

何にお金を使うかで、その人の生き方が見えてくる

大事なのは「できるところから、今すぐ始める」こと

何かにつけ、人間の心は不純な思いにとらわれやすい。掃除にしてもなんにしても、よい行いをするとつい見返りを求めてしまう。具体的な見返りでなくても、「これだけやったのだから、何かいいことがあるだろう」とか「誰か褒めてくれないかな」などと考えたりする。しかし、そうした損得や打算を抜きにしてよい行いをするからこそ、よい心の姿勢が作られていくのだ。だから、いつも自分の心の姿勢がどうなのか、自問自答することが大切になる。

そうした心を作るために、私は募金や寄付を勧めている。「困った人がいたら助けたい」という気持ちは多くの人が持っているはずだが、身銭を切るとなるとなかなかできない。大事なのは額の多寡でなく、できるところから始めること。いつかではなく、今すぐ始めることだ。今夜から、着替えた服のポケットの小銭を空き瓶に入れるところから、ぜひ始めてみてほしい。

「あなたはお金持ちだから寄付ができるのだろう」と言う方もいるが、それは違う。たとえ莫大な財産を持っていても、その気がなければしないものだ。お金の使い方には、その人の価値観が現れている。心の習慣を「他者本位」にすれば、人も助かるし喜んでもくれる。自分も心の満足が得られて嬉しい。寄付や募金を通じて、ぜひそれを体感してほしい。そんな意識が社会全体に広がり、やがて今の10倍の寄付社会となることを私は願っている。