ただし、ウーバー、グラブといった会社が消えてなくなることはない。どちらもライドシェアだけでなく、食事のデリバリーなど日常生活に関わるサービスをやっているからだ。ライドシェアよりも、生活サービスの部分が成長していくだろう。

ネットで車を買う時代がやってくる

新型コロナウイルスのために、世界の進歩には加速度がついた。時計の針が進んだのである。

世界中で在宅勤務は劇的に増えるだろう。店舗で買い物をせずにネットに頼る客もさらに増えていく。小売店、販売店といったところは増えるどころか減っていく。

むろん自動車の販売店も減っていくだろう。2017年、『トヨタ物語』の取材で米テキサスへ行った時、あるオーナーは「アマゾンが自動車を売るようになる日はすぐに来る」と言っていたけれど、ネットで車を買うことは当たり前になる。販売店は自動車を売ることよりも補修・修理サービス業としての比重が高まるだろう。

トヨタは販売店に対して、矢継ぎ早の政策転換を促している。

まず、どの販売店もすべての車種を売ることができるようになった。かつてはトヨタ販売店ではクラウンを専売し、トヨペット店はカムリを売っていた。もう、そういうことはない。どこでも、トヨタのすべての車を売ることができる。

トヨタの販売店
写真=iStock.com/tomeng
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そして、それもつかの間だろう。いずれはさらに進化する。トヨタに限らず、日産だろうが、ベンツだろうが、あらゆる会社の車を売る販売店が現れ、かつ、部品を揃えて、サービスや補修もするようになるだろう。

かつて日本各地の商店街にはナショナル、日立、東芝といった特定企業の製品を売る販売店があった。しかし、今はもう、多くの家電販売店はどこの会社の製品も売っているし、修理する。修理というよりも、あらゆる家電製品は修理するよりも新品を買う方がリーズナブルになっている。車だって、そういう風にならないとは限らない。

ひとつ言えることは、モビリティに関する限り、サービスの力がある販売店だけは残る。EV(電気自動車)でも自動運転でも、空飛ぶモビリティでも補修・修理サービスは必要だからだ。