中古マンションには年代別にトレンドがある

中古マンションを賢く買うには、闇雲に物件を見て回るのではなく、傾向と対策を知ることが重要だ。

実は中古マンションには、年代別のトレンドがある。トレンドが生まれる理由の1つが、建築基準法などの法律や諸制度の改正により、マンションの構造や性能が変わるということ。お上の意向には逆らえないからだ。

理由の2つ目は、消費者に人気の高い設計プランや設備などを取り入れることにより、マンションにも流行り廃りがあるということ。マンションの販売競争が激しいときに、特にその傾向が強くなる。

拙著『今こそ!中古マンション「得」する買い方・選び方』(小学館)の中で、過去30年間の流れを自分なりに6つの時代に分けてみたが、抜粋したのが左表だ。

6つの時代の中で、基本性能面が安定しているという点でお勧めなのが、「基本性能底上げ時代」。2000年に施行された「住宅品質確保促進法」などの影響で、消費者の住宅の性能への関心が高まり、多くのマンションが高水準の基本性能を備えるようになったからだ。そればかりでなく、新築マンションの販売競争が激しい時期とも重なり、プラン面の工夫も見られるので、全般的に長く快適に住めるマンションが多い。

ただし、大きな難点がある。まだ価格がそれほど下がっていないので、中古マンションのメリットである価格の安さの恩恵を得にくいという点だ。

資金に余裕があって、あまり手をかけずに住みたいという人は、この「基本性能底上げ時代」の物件を狙う手もあるが、予算的にもう少し手ごろなマンションがほしいとなると、「マンションブーム&進化時代」に目を向けることになるだろう。

この「マンションブーム&進化時代」には、政府の住宅販売活性化の施策もあり、新築マンションの大量供給が始まった。分譲会社は、販売競争から消費者ニーズを意識するようになり、プランに工夫が見られるマンションを数多く供給した。

都心部の好立地でマンションが供給され、都心回帰現象と呼ばれたのもこの時代だ。

一方で、95年の阪神・淡路大震災の影響を受け、耐久性などへの関心が高まり、基本構造面での進化も見られたのも、この時代である。96年には、当時の住宅金融公庫が、質のよい住宅に有利な金利を適用する制度改正を行ったのも後押しとなった。

プランの工夫や基本構造の高さを売りにしたマンションが供給される一方で、低価格を売りにした特段進化をしていないマンションも供給された時代なので、マンションによってばらつきがあるものの、比較的良質なものが探しやすいといっていいだろう。