伸びる社員と沈む社員の分岐点

【IT】この社員は伸びるな、この社員は伸びないなという見極めは私の経験で言えば、係長ぐらいから出てくる。年齢で言えば30歳前後で明確に違ってくるね。伸びる社員というのは見識も広く、意志も強い。チームワークで仕事をする際に人の話の理解力もあるし、自分なりに仕事を組み立てることができる力を持つタイプ。新しい仕事にも果敢に挑戦し、それをクリアしながら自分を磨いていける人間だ。一方、伸びない社員というのは、やらせても時間がかかる。その結果、いい仕事も回ってこない。そのうち自分はそんなもんだという意識になってくる。まあそこそこやっていれば、いつかは課長ぐらいにはなれるだろうと考えているタイプだね。実際、どこまで偉くなりたいという目標もなく、まあ給与ももらえているし、生活もなんとかなるし、いいんじゃないと考えているタイプも多いね。

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【食品】同期の社員で伸びていくタイプとそうでないタイプの分岐点は、入社3年経過後からじわじわと現れてくる。そして出世していくかどうかは、課長任用時から3年間の実績がその先に抜けるか止まってしまうかの最終的な岐路となる。彼らを見ていていつも考えるんだが、ビジネスマンには野心家、エリート、凡人の3タイプがいる。野心家の動機は自らの発意であり、エリートは上司の指示・命令による、凡人は生活者としての欲求からモチベートされると思う。伸びていく社員というのは野心家が多い。一発当ててやるぞとか、善し悪しは別にして、ある意味で山師的なタイプは伸びていく。

【機械】それは言える。野心家というのは必ずしも独立志向の人間だけではなく、俺は将来、部長になってやる、役員になってやるぞという秘めた思いを持っているタイプだ。そういうタイプは上司からすれば、結構生意気に映るけど、頼りになる。平時のときはいいが、職場や上司が難局に直面したとき、部下がどう動いてくれるかだ。そういうときこそ生意気な人間のほうが仕事をする。逆に伸びない部下というのは、誰かの指示や強制力がないと働かない。

【食品】でも野心家でアグレッシブなタイプは少ないよ、10人のうち1人いればいいほうだ。よく社員は2・6・2の比率に分かれるというけど2割もいない。

【流通】若いうちは棘があるくらいがいい。出る杭は打たれるというけど、打たれるほどの杭になってほしいね。逆に若いうちから、周囲から打たれないようにほどほどにやっていたら、限界が早くやってくる。常に周囲とケンカして相手のことは聞かないのはだめだが、自分なりの知識や勉強に裏打ちされた信念に基づいて、上司に対しても言うべきことは言い、横や下とも徹底的に議論することが大事だ。議論できない人というのは、いざ判断する立場になっても判断できない。